ヱヴァンゲリヲン 新劇場版 序 繰り返し見て分かったこと(3.シンジの戦い~心象風景)


この内容は完全にネタバレになります。
映画をまだ見ていないという方は注意願います。

前回は、ジオフロントに降りたシンジが、エヴァに乗る決心をするまででした。

 【前回】ヱヴァンゲリヲン 新劇場版 序 あらためて見直してみて気づいたこと (2.シンジ、エヴァへの搭乗)

今回は、いよいよシンジがエヴァに乗って戦うシーンになります。
早速、見ていきましょう。

 エヴァ初号機出動、地上へ、そして使徒との闘いのシーン

リツコ
「発信準備完了」

ミサト
「了解。構いません、ね?」

ゲンドウ
「もちろんだ。使徒を倒さぬ限り、我々に未来は無い」

冬月
「碇、本当にこれで良いんだな?」

ミサト
「発進」



ミサト
「良いわね、シンジ君」

シンジ
「はい」

ミサト
「最終安全装置解除!エヴァンゲリヲン初号機、リフトオフ!」

リツコ
「シンジ君、今は歩くことだけを考えて」

シンジ
「( 歩く )」

リツコ
「歩いた!」

シンジ
「(歩く)」

ミサト
「シンジ君、しっかりして!早く、早く起き上がるのよ!」

シンジ
「うわぁ!」

ミサト
「シンジ君、落ち着いて!掴まれたのはあなたの腕じゃないのよ!」

リツコ
「エヴァの防御システムは?」

マヤ
「シグナル、作動しません!」

マコト
「フィールド、無展開!」

リツコ
「だめか!」

マヤ
「左腕損傷!」

マコト
「回路断線!」

ミサト
「シンジ君避けて!」

シンジ
「う、うぁあ~!」

マヤ
「頭蓋前部に亀裂発生!」

リツコ
「装甲がもう持たない!」

シゲル
「頭部破損、損害不明」

マヤ
「活動維持に、問題発生!」

リツコ
「状況は?」

マヤ
「シンクログラフ反転、パルスが逆流しています!」

リツコ
「回路遮断、せき止めて!」

マヤ
「駄目です、信号拒絶、受信しません!」

ミサト
「シンジ君は!?」

マコト
「モニター反応なし。生死不明!」

シゲル
「初号機、完全に沈黙」

リツコ
「ミサト!?」

ミサト
「ここまでね・・・作戦中止、パイロット保護を最優先!プラグを強制射出して!」

マヤ
「駄目です、完全に制御不能です!」

ミサト
「なんですって!?」

NERVスタッフ
「エヴァ再起動」

マヤ
「そんな、動けるはずありません!」

ミサト
「まさか!?」

リツコ
「暴走!?」

冬月
「勝ったな」

リツコ
「A.T.フィールド」

ミサト
「駄目だわ、A.T.フィールドがある限り」

リツコ
「使徒には接触できない!」

シゲル
「左腕復元!」

ミサト
「すごい!」

マヤ
「初号機もA.T.フィールドを展開、位相空間を中和していきます!」

リツコ
「いえ、侵食しているんだわ」

ミサト
「あのA.T.フィールドを、いとも簡単に」

ミサト
「エヴァは?」

リツコ
「あれがエヴァの・・・」

ミサト
「本当の姿」

 設定の細かさが分かるシーン

 航空障害灯(赤色灯)

シンジがエヴァ初号機で地上に出た時には、既に日が落ちて夜になっています。そのため、ビルの航空障害灯(航空機の事故を防ぐための赤色の灯火)が点灯しているのですが、よく見ると普通の航空機の飛行には関係のない、建物の随分低い位置にまで、この航空障害灯が取り付けられているのが分かります。

これは、通常の航空機用ではなくて、国連軍が使用していた垂直移動可能航空機(オスプレイの様な飛行機)、または地上で行動するエヴァンゲリヲン用に取り付けられていると考えられます。

何気ないシーンですが、こんなところにも、しっかりとした設定がされていることがうかがえます。

  日本映画界の巨匠 黒澤スタイル!?

エヴァの体液/血液の吹き出し方が、黒澤明監督の時代劇で、観客により強い印象を与えるために誇張された吹き出し方をしていますが、それと同じになっています。

エヴァンゲリヲンの体液/血液の圧力が航空機等の油圧装置よりもはるかに高い10,000PSI位、あるいはそれ以上あるという設定なのでしょうか?

 キリスト教、他の作品のモチーフ

 十字架

使徒の攻撃の火柱がいちいち十字架になります。
そして、使徒は倒されて爆発する時に十字架が出て虹が出るという、これはお約束になっています。
キリスト教で、十字架は言わずと知れたキリスト(救世主)の象徴、あるいは人間が負っている原罪の象徴。

そして、虹はヘブライ語で「弓」を意味していて、神が「ノアの洪水」の後、もう二度と世界を滅ぼすようなことはしないという誓いの証として、武器である弓を天に置いたことを表していると言われています。

このブログ「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版 序」シリーズの最初にも書きましたが、一見敵の様に見せて、やはり使徒という名前が付いて、やられると十字架+虹が出るという事は、ある意味で殉教的な意味あいがあるように思われます。

つまり、勧善懲悪的な、倒されて当然のただの悪者としては描かれておらず、人類にとって、それが救済につながる様なものとして描いているように感じさせています。
(感じさせているという雰囲気だけなのかもしれませんが・・・)

 宇宙戦艦ヤマトでおなじみの・・・

「初号機、完全に沈黙」という劇中 シゲルのセリフがあります。
この「完全に沈黙!」というセリフは、宇宙戦艦ヤマトで、ヤマトが敵にボコボコにやられると、よく使われていたセリフです。

やはり宇宙戦艦ヤマト好きの庵野監督だけに、ちょくちょくヤマトを彷彿 ほうふつとさせるものが、オマージュとして入っているのを感じます。
いよいよ最後を察した使徒が、エヴァ初号機に取り付いて自爆します。エヴァも一緒にやられてしまったのではないか…とNERV(ネルフ)本部で固唾かたずを飲んでモニターを見つめる中、しばらくして爆発による炎と煙の中から、エヴァ初号機が現れる象徴的なシーン。

モニターに映し出されるエヴァ初号機は、爆発による熱の影響でゆらゆらとゆらぐ姿で映し出されています。

これは、地球を発進しようとする宇宙戦艦ヤマトが、ガミラス冥王星基地からの超大型ミサイルの攻撃を、間一髪、主砲で攻撃し、その爆発の影響でヤマトも一緒に爆発してしまったのではないかと不安で見守る地球防衛本部のモニターに、煙と炎の中をから、ゆらゆらと現れるシーンを思い起こさせます。

 何かのモチーフ?

これは何のモチーフか分かりませんが、エヴァ初号機の走り方が、俗に言う忍者走り(両腕を後ろにして走るスタイル)になっています。
ただ、後の作品では現代人の様に両手を振って走るようになっているので、エヴァも人間の様に進歩していっているという象徴として描いているのかもしれません。
(ただ単純に、後に実際の人によるモーションキャプチャーを取り入れたので、よりリアルな人間に近い動きになっているだけなのかもしれません)
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 シンジの心象風景(電車の中)そして目覚めのシーン

 
ユイ
「名前、決めてくれた?」

ゲンドウ
「男だったらシンジ、女だったらレイと名付ける」

ユイ
「シンジ……レイ……ふふふ……シンジ……シンジ……綾波……シンジ……レイ……レイ……碇……レイ……違う、綾波……レイ」
 
シンジ
「はっ!・・・ 
知らない天井だ」

 母親 碇ユイ そして綾波レイ

シンジの夢~心象風景(電車の中)~でユイが名前を読むシーンは、途中から声が碇ユイから綾波レイに変わり、最後に魚眼レンズでレイの顔を接写したような奇怪な画面が出て、目覚める象徴的なシーンです。

この、心象風景のシーンは、冒頭あぶくのシーンから入るのでエヴァのL.C.Lに満たされたエントリープラグ内のシーンかと思ったら、いきなり電車の車内が映し出されます。

そして、両親(母親ユイと父ゲンドウ)の会話が聞こえていて、会話の内容からシンジは生まれておらず、これは、シンジが胎内で聞いた会話だということが分かります。

つまり、最初の泡はL.C.Lだけでなく、母親の羊水を重ね合わせるような作りになっていて、エヴァのエントリープラグに入ってエヴァに乗るという事は、物理的な胎内回帰(たいないかいき)ということが言えます。

そして、この心象風景の電車も、シンジの深層心理であり、かつ、母親の精神の中ということも言え、いわば精神的な胎内回帰ということを意味しているのでしょう。
 
さらに、そこに綾波レイが重なっているので、既に母ユイと綾波レイは、何か普通じゃないつながりがあるということを匂わせるような作りになっています。

最も、この時点では、そのことは匂わせるだけで、伏線として置いています。それにしても、魚眼レンズのシーンを挟むことで、見事に心に刻まれる素晴らしいシーンになっています。


【前回】ヱヴァンゲリヲン 新劇場版 序 あらためて見直してみて気づいたこと (2.シンジ、エヴァへの搭乗)

  

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