ヱヴァンゲリヲン 新劇場版 序 つぶさに見てみた(4.ゼーレ会議~ミサトの家)


この内容は完全にネタバレになります。
映画をまだ見ていないという方は注意願います。

前回は、シンジがエヴァ初号機で出撃して使徒を倒し、病院で目覚めるシーンまででした。

【前回】ヱヴァンゲリヲン 新劇場版 序 繰り返し見て分かったこと(3.シンジの戦い~心象風景)

今回は、Seele(ゼーレ)の会議から、シンジが学校に行くまでのシーンについて、色々と気になる点、気が付いた点についてご紹介したいと思います。

 Seele(ゼーレ)会議のシーン

seeleメンバー
「第4の使徒襲来とその殲滅、そして3番目の子供の接収、及びエヴァ初号機の初起動、概ね既定通りだな」

seeleメンバー
「初号機本体の膨大な修理費は予定外だがね」

seeleメンバー
「凍結された零号機と比べれば、さして問題ではなかろう」



seeleメンバー
「多少不具合でも、第5の使徒出現時に、また役立てばよい」

ゲンドウ
「ご心配なく。初号機の実戦配備に続き、2号機と付属パイロットも、ドイツにて実証評価試験中です」

seeleメンバー
「3号機以後の建造も、計画通りにな」

seeleメンバー
「NERV(ネルフ)とエヴァの適切な運用は君の責務だ。くれぐれも失望させぬように頼むよ」

seeleメンバー
「さよう。使徒殲滅はリリスとの契約のごく一部に過ぎん。人類補完計画、その遂行こそが我々の究極の願いだ」

ゲンドウ
「分かっております。全てはseeleのシナリオ通りに」


 seele(ゼーレ)とは? そして、リリスとは?

 seele(ゼーレ)とは?エンブレムのモチーフ

 seele(ゼーレ)はNERV(ネルフ)の上位組織で、国連組織の一部として定義づけられていますが、正規の国連組織とは別に裏の顔を持ち、「人類補完計画」という独自の計画を進める、フリーメーソンの様な怪しい秘密結社的な組織としても描かれています。

seele(ゼーレ)とはドイツ語で「魂」の意味。
エンブレムに描かれている「リンゴに蛇」、これは旧約聖書に登場するアダムとエヴァの食べた禁断の果実と、エヴァに禁断の実を食べるようにそそのかした蛇のモチーフ。

つまりエヴァを動かした存在としての意味が込められているように思われます。

エンブレムに描かれている左側に3つ、右側に4つある目は、「黙示録の仔羊」と呼ばれている聖書「ヨハネの黙示録」に記載されている仔羊の目で、神の計画の書の封印を開く者として記載されています。

これも、裏死海文書による人類補完計画を実行する者としての意味がこめられたモチーフなのでしょう。
また、フリーメーソン的な組織でもあると先ほど言いましたが、フリーメーソンも目が特徴的なモチーフとしてエンブレムに使用されています。

 seele(ゼーレ)のスローガン

seele(ゼーレ)のスローガン(ドイツ語)
「überm Sternenzelt Richtet Gott, wie wir gerichtet」
(訳:星空の上で、神がお裁きになる、我々がいかに裁いたかを」
これは、ドイツの詩人シラーの「歓喜の詩」の一節、ちなみに、この詩をもとにベートーヴェンが交響曲第九番(通称:第九)「歓喜の歌」を作曲しています。

 リリスとは?

 リリスについては、この時点では伏線で、後に説明されることになります。NERV(ネルフ)本部の地下深くにあるセントラルドグマと呼ばれる場所に格納されている人類(リリン)の誕生主。

人類の誕生主という意味では、旧約聖書でいうところの、アダムとエヴァ(イヴ)のエヴァに該当するような存在ということになります。
ちなみに、リリスという名前は、旧約聖書の正典には出てきませんが、旧約聖書外典という正規の旧約聖書(正典)からは除外された文書の中では、リリスはアダムの最初の妻(つまりエヴァは後妻)ということになっています。

また、リリスは夜の妖怪でもあり、その子供たちをリリンと呼ぶと記載されています。
サタン(悪魔)の妻になったという俗説もあります。

リリスは、現代では、「女性解放運動」の象徴になったりしています。
聖書では、エヴァ(イヴ)はアダム(男性)のあばら骨から作られたということもあり、完全に男尊女卑になっていて、キリスト教の影響が女性の地位を長い間に渡って低くしてきている元凶という見方もあります。

従って、その聖書の世界ではやや悪者的に描かれていても、アダムの骨から作られたのではないリリスは、アダムと対等であり女性の地位向上、解放運動の象徴として認められる存在となったのでしょう。

 人類補完計画とは?

seele(ゼーレ)が、地球に住む人類を新たな次元へ進化させるための計画(裏死海文書というものが後に出てきて、それに従って計画が進められるというもの)

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 病院から出るミサトとシンジ

 ミサト
「一人で、ですか?」
係員
「そうだ。彼の個室は、この先の第6ブロックになる。問題はなかろ
う」
シンジ
「はい」
ミサト
「それでいいの?!シンジ君」
シンジ
「いいんです、一人のほうが。どこでも同じですから」


リツコ
「何ですって?!」
ミサト
「だからぁ、シンジ君は、あたしんところで引き取ることにしたから。上の許可も取ったし。心配しなくても、子供に手出したりしない
わよ」
リツコ
「当たり前でしょうっ!全く何考えてるの!あなたって人はいっつ
も!」 
ミサト
「相変らずジョークの通じない奴」
ミサト
「さぁ〜ってぇ、今夜はパーッとやらなきゃね!」
シンジ
「な、何をですか?」
ミサト
「もちろん、新たなる同居人の歓迎会よ」

 山崎豊子 「白い巨塔」のモチーフ

病院の館内放送で
「第一内科の鵜飼先生、鵜飼先生、至急第一外科の東先生までご連絡ください」
これは、白い巨塔の登場人物( 白い巨塔は山崎豊子の小説~ 1963年より連載)
これも、作者の遊びでしょう。

 病院のエレベーターでゲンドウと遭遇

病院からミサトと二人で出るためエレベーターに乗ろうとしたところ、中にはゲンドウが立っていて乗らずにやり過ごすシーン。
エレベーターの扉の下側のレールから上を見上げるカメラアングルがすごく特徴的。

ゲンドウとシンジの親子が、珍しく同じフロアに立っていて、距離の近い位置関係。

お約束の逆光位置に立つゲンドウだが、シルエットではなく、表情がよく分かるほど近い。

ゲンドウもシンジも驚きつつも見つめ合う二人。
親子の確執をエレベーターのレールの線が越えられない境界線として象徴的に描かれています。

シンジは、その境界線を乗り越えることが出来ず、父の視線にも耐えきれずに目をそらす。
そして、シンジの負けを告げるかのようにドアが閉まる印象的なシーンです。


 コンビニで買い物をするミサトとシンジのシーン

コンビニ買い物客1
「やっぱり引っ越されますの?」

コンビニ買い物客2
「ええ~。まさか本当にここが戦場になるなんて思ってもみませんでしたから」

コンビニ買い物客1
「ですよねぇ〜。うちも、主人が子供とあたしだけでも疎開しろって。なんでも今日一日で転出届が100件を越えたそうですよ」

コンビニ買い物客2
「そうでしょうねぇ~。いくら要塞都市だからっていったって、NERV(ネルフ)は何一つアテに出来ませんものねえ」

コンビニ買い物客1
「昨日の事件!思い出しただけでもぞっとしちゃうわ」

コンビニ買い物客2
「ほんとうに」

買い物に寄ったコンビニでの、主婦たちの会話のシーン。
黙って、買い物をするミサトとシンジ。
シンジとミサトのセリフは一切入らないが、その表情でシンジが傷つき、ミサトがそのことを気にしているのが分かるシーンになっています。

 ミサトの性格が垣間見れるシーン

車の運転には、その人の性格がよく現れると言います。

シンジを迎えにいったシーンからも、ミサトの性格が伺えますが、このコンビニに立ち寄る時のシーンでも、ミサトの性格が垣間見えます。

コンビニ(ローソン)で、ミサトは停車レーンに入れずに、半分車道(歩行者レーン)半分コンビニの駐車場で、入口に一番近い所に横付け。
とりあえず目的が達せられれば形はどうでもいいという、ミサトの性格の表れとして表現されています。

また、コンビニのカゴの中身も、男の一人暮らしにありがちな料理をしない人物の買い物(コンビニ弁当、缶コーヒー、缶ビール、お酒のおつまみ系缶詰、サラミソーセージに、カップラーメン)
男女雇用機会均等法が施行され、女性も男性と同じ様に働くのだから、生活スタイルも当然同じ様になるといった事が描かれているように思われます。
特に、1980年代以降、仕事をバリバリこなすキャリア・ウーマンと呼ばれる人達で、こういった生活をしている人は多くいたのでしょう。

 セカンド・インパクト募金(さりげない演出)

コンビニ(ローソン)のレジ前の募金箱が、セカンドインパクトのものとなっています。この時点では、セカンド・インパクトから随分経っているのに、いまだにコンビニの店頭で募金活動が続いているのは、いかに災害規模が大きかったが伝わるワンカットとなっています。

 第3新東京市を眺める、そしてミサトの家へ

ミサト
「済まないけど、ちょ〜っち寄り道するわよ」

シンジ
「どこへですか?」

ミサト
「ふふん。イ・イ・ト・コ・ロ」
 
シンジ
「なんだか、さびしい街ですね」

ミサト
「時間だわ」 

シンジ
「凄い!ビルが生えてく!」

ミサト
「これが、使徒専用迎撃要塞都市、第3新東京市。私たちの街よ・・・そして、あなたが守った街」
 
 ミサト
「シンジ君の荷物は、もう届いてると思うわ。実は、あたしも先日この街に引っ越して来たばっかりでね。さ、入って」

シンジ
「あ、あの、お邪魔します」

ミサト
「シンジ君?ここはあなたの家なのよ」

シンジ
「た・・・ただいまっ」

ミサト
「お帰りなさい」

 ミサトの優しさ、シンジのプライド、そして境界線

先のコンビニで、主婦の会話を気にしているのではないかと気にしたミサトが家にそのまま帰らずに連れていった場所は、第3新東京市が見える丘(山の中腹?)にある展望デッキ。

自分が守った街を、その美しい光景と共に俯瞰させることで、勇気づけようとしたシーンです。
若者は、自分を俯瞰することがなかなか出来ない、それをさせてあげるのが大人の務め、そんなメッセージを感じるシーンでもあります。

シンジのプライド 

非力そうなシンジには、持っている買い物袋が明らかに重そうです。しかし、女性であるミサトには持たせられないという気持ちがあるように思われます。
やりとりは描いていませんが、恐らくシンジが自分から持ちますと言って持ったのではないかと想像させます。

エヴァの初号機に乗る決心をした動機も、女の子(しかも怪我をしている)に自分の代わりに乗らせて戦わせることは出来ないという、シンジの男としてのプライドが見受けられます。

 シンジにとっての境界線

ミサトの部屋に着いて、家のドアのレールを乗り越える瞬間を、ドアのレールをまたぐ足を真横から映す低い視点でのアングル。
他人の家に入るという境界線を、ここでも強調。

そして、ミサトから「お帰りなさい」という言葉をかけられる。それに照れながらもうれしそうに「ただいま」と答えるシンジ。
この境界線を乗り越えることが、どんなに大きな違いかを伝えるシーンになっています。

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