ヱヴァンゲリヲン 新劇場版 序 いま一度見直したら…(7.ゲンドウと綾波の過去~レイの家)


この内容は完全にネタバレになります。
映画をまだ見ていないという方は注意願います。

前回は、新たな使徒の登場、そしてシンジの家出のシーンでした。

ヱヴァンゲリヲン 新劇場版 序 よくよく見直しての気づき (6.新たな使徒~家出)

今回は、綾波レイの過去(零号機の暴走)、ゲンドウとレイについて語られている部分を見ていきます。

 エヴァ零号機の暴走(父ゲンドウと綾波)のシーン

マヤ
「起動システムに、異常発生!」

マヤ
「パルス逆流!せき止められません!」

マヤ
「プラグ深度不安定、エヴァ側に引き込まれて行きます!」

リツコ
「コンタクト停止、6番までの回路、緊急閉鎖!」

マヤ
「駄目です、信号が届きません!零号機、制御不能!」

ゲンドウ
「実験中止!電源を落とせ」

リツコ
「はい!」

リツコ
「零号機、予備電源に切り替わりました」

マヤ
「完全停止まで、あと35秒!」

リツコ
「危険です、下がってください!」

マヤ
「オートイジェクション、作動します!」

ゲンドウ
「いかん!」

リツコ
「特殊ベークライト、急いで!」

ゲンドウ
「レイ!」

マヤ
「完全停止まで、あと10秒、8、7、6、5、4、3、2、1・・・零号機、完全停止」

ゲンドウ
「レイ!大丈夫か?レイ!」

ゲンドウ
「そうか」
 

 エヴァ零号機の暴走

このシーンでリツコが何より驚いていたのは、暴走した零号機よりも、オートイジェクション(自動脱出装置)により、エントリープラグ(つまりレイ)が射出された時からのゲンドウの あわてぶりでしょう。

リツコにとって、零号機の暴走は「想定内」だったはず、しかし、ゲンドウの、あの、 あわてようは『想定外』だったと思われます。

それまで、零号機が暴走して目の前のガラス窓が割られても、平静を保っていたゲンドウですが、エントリープラグが出た瞬間、大 あわてです。

ゲンドウは格闘経験者? 
ガラスが割られた瞬間をよく見てみると、さすがのゲンドウも驚き口を開けていますが、目は閉じずに開けたままです。ゲンドウは何か格闘技の経験でもあるのでしょうか?

何がそんなにゲンドウを あわてさせたか?
恐らく暴走したエヴァ零号機が、レイの入ったエントリープラグを踏みつぶしたり、叩き飛ばすといった、レイへの攻撃を恐れたためでしょう。

リツコが「特殊ベークライト、急いで!」と言っています
ベークライトというのは、世界で初めて作られた
人工的に合成されたプラスチック(硬化性樹脂)のことです。
(エヴァの世界での架空の物質ではなく、実在する樹脂です)

エヴァ零号機の足の動きを封じるため、あるいは床に落ちたエントリープラグを樹脂でおおいかぶせてしまってエヴァ零号機が攻撃出来ないようにするための、リツコの判断でした。

特殊ベークライトが何かということの説明は入れていませんが、ゲンドウが落としたメガネが、ベークライトに浸っているうちにヒビが入るというシーンを入れることで、硬化剤だということが何となく分かるようにしています。

エントリープラグのオートイジェクションは、基本的にエヴァ本体から、なるべく遠く離れた場所へ退避するように設計されているのでしょう。

こんな狭い部屋では、その射出能力に対して想定している移動距離が取れず、何度も壁にぶつかりながら、最終的には壁を押すだけで移動できず、そのまま地上に落ちます。

射出による運動エネルギーが熱エネルギーに変換されることで、エントリプラグそのものが、ものすごく熱くなっているということを、ゲンドウがエントリープラグを開けようとして、ハンドルの熱さで苦しむシーンとして描いています。

なぜ、こんなにレイに執着するのか?

それは、やはり最愛の妻ユイのクローンだからなのでしょう。
ゲンドウのレイと呼ぶかける声が、半分ユイとも聞こえるような気さえします。

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 ミサトとリツコのバーでの会話、シンジがレイの家を訪ねるシーン

 バーで飲むミサトとリツコのシーン 

リツコ
「どう?彼との生活は」
ミサト
「まあね、少し慣れた」
リツコ
「まだ緊張してるの?男と暮らすの、初めてじゃないでしょ?」
ミサト
「8年前とは違うわよ、今度のは恋愛じゃないし」
リツコ
「それはどうかしら。シンジ君、あなたがいるから残ったんじゃない?」
ミサト
「違うわ」
ミサト
「たぶん、お父さんがいるからよ。お父さんに自分を見て、知って、触れて、一言でいい褒めて欲しいのよ。孤独を感じさせない愛情が欲しいだけだと思う」
リツコ
「父親との確執、ミサトと同じね」
ミサト
「碇司令、どうして実の息子に、あそこまで興味無いのかしら? レイとは話してるみたいなのに、バランス悪いわね」
リツコ
「最近の男は、すべからく自分にしか興味ないのよ」
ミサト
「女にはつらい時代になったわね」
リツコ
「さてと、時間だし戻らなくちゃ」
ミサト
「相変らず仕事の虫ねえ」
リツコ
「ミサト、帰るならこれ・・・シンジ君の正式なセキュリティーカードと、綾波レイの更新カード、さっき渡しそびれて、明日シンジ君に頼めるかしら?」
ミサト
「ああ、いいけど」

 リツコの一言…男性に強烈な鉄槌てっつい 

ゲンドウのシンジとレイとの態度の違いについて、ミサトが言ったバランスが悪いという事に対して、リツコが言い放ったこの一言…

「最近の男は、すべからく自分にしか興味ないのよ」

強烈な一言ですよね~…(笑)


これは、もちろん現実の男性に対する一言なんだと思います。
1970年代の学生(つまり団塊の世代)の人達は、行った行動の是非は別にして学生運動を通して政治に関心もあり、また、自分だけがよければいいという風潮は少なかったように思います。

それが、今現在では… 
と、現代の男性を少し憂いているような表現です。



またミサトのその後の返しも、また強烈です。

「女にはつらい時代になったわね」

並いる男たちを押しのけて、NERV(ネルフ)で、あれだけの地位に立っているキャリアウーマンの鏡の様な存在のミサトにして、この言葉です。

男って本当にダメなんだな~という感じを、この一つのやりとりだけで、見事に作り出しています。

いや…男には重たい、スルー出来ない内容です(笑)

 シンジがレイの家を訪ねるシーン

シンジ
「ごめんください・・・ごめんください!碇だけど。綾波、入るよ」

シンジ
「綾波のかな?」

シンジ
「い、いや~あの!僕は、別に」

シンジ
「あっ、うわ、わあぁ!」

レイ
「どいてくれる?」

シンジ
「うわ!」

レイ
「なに?」

シンジ
「あ、あの、僕はあの・・・僕は、た、頼まれて、そういや、なんだっけ・・・カ、カード、カードが新しくなったから、と、届けてくれって・・・だから、だから、別にそんなつもりは」

シンジ
「リツコさんが、渡すの忘れたからって、ホントなんだ。それでチャイム鳴らしても誰も出ないし、鍵は開いてたんで」

 
シンジ
「これ、綾波の新しいやつ、リツコさんに頼まれて」

シンジ
「さっきは、ごめん」

レイ
「何が?」

シンジ
「ねえ、綾波は怖くないの?またあのエヴァンゲリヲンに乗るのが」

レイ
「どうして?」

シンジ
「前の実験で大怪我したって聞いたから、それで、平気なのかなって思って」

レイ
「そう、平気」

シンジ
「でも、またいつ暴走して危ない目に会うか、使徒に負けて殺されるかもしれないんだよ、僕らは」

レイ
「あなた、碇指令の子供でしょ? 信じられないの?お父さんの仕事が」

シンジ
「当たり前だよ、あんな父親なんて!」

シンジ
「ん?あの・・・」

 ボロボロの家に住むレイ

 レイの家は、正直言ってかなりボロボロの古い団地、住んでいる住民はほとんどいないようなところ。
色んな所が壊れているし、ゴミも散らかっている状態。
何故この様なところに住んでいるのか?
全く説明が無いので不明。
玄関の前にも、ペットボトルが転がっていたりして汚い。
また、綾波の部屋のドアポストにも郵便などが、詰め込まれたままの状態。
家も掃除がされておらず、廊下にはホコリが積もって足跡がついているようなありさま。
ゲンドウが、あれだけ必死になって助け出す存在(ユイの分身)なので、あえてこういうボロボロの家をレイに与えているとしか考えられません。

勝手な想像にすぎませんが、もともとゲンドウがユイと結婚当初住んでいた部屋が同じタイプの公団住宅(又は官舎)で、それで、ゲンドウがあえて、こういう部屋に住まわせていると考えることもできるのかもしれません。

そして、その部屋が402号室というのも、当時、ゲンドウとユイが住んでいた部屋番号だったのか・・・あるいは、402号室というのは、シンジ(42)とレイ(0)を足した、ただの言葉遊びなのかもしれません。

エヴァのパイロットであれば、家出するだけであれだけの人達が後をつけるほどのVIP待遇なのに、家がこんな状況というのは、とにかく色んな憶測をさせる謎です。

 サイコパスなレイが、感情を出す時とは?

感情を表に出すことがないサイコパスの様なレイが、シンジがゲンドウのメガネをかけていた時と、シンジが「あんな父親なんて!」と父に対する嫌悪感を表に出した時だけ、ビンタをしたりと、異様なほど感情を表に出しています。

これは、やはりどこかでユイの心がレイに宿っているということの象徴として描かれているのでしょう。
ゲンドウの妻としての行動、そして、シンジの母としての行動ですよね・・・

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