新劇場版 破 ヱヴァンゲリヲン   アスカとレイの対立             (16.ハズレのトウジ~エレベーター )


この内容は完全にネタバレになります。
映画をまだ見ていないという方は注意願います。


前回は、レイが手料理を始め、それに影響されてアスカも手作り料理をシンジのために作ろうとしているシーン。そして、北米ネルフでの4号機の爆発、3号機の移送まででした。

今回は、エヴァンゲリヲン 新劇場版:破の16回目、シンジとトウジ、ケンスケの男3人仲間の何気ない下校のシーン、そして、レイとアスカが同じエレベーターに乗るシーンになります。

前回分をご覧になっていない方は、是非、ご覧ください。

【前回】新劇場版 破 ヱヴァンゲリヲン   食事会へ向けて             (15.レイ・アスカの変化 )

 下校、ゼーレ会議、エレベーターのシーン

シンジ、トウジ、ケンスケ の下校

トウジ
「おばちゃん、これ3つや」

シンジ
「めずらしいな~トウジのおごりなんてさ」
 
トウジ
「ワイも、真面目なシンジが買い食いつきおうてくれるとは思わんかったわ」

ケンスケ 
「妹さんの調子、良くなったって素直に言えばいいのに」

トウジ
「うるさいわい!余計なこと言わんでもええんじゃ、アホ!」

ケンスケ 
「なぁ~碇~、3号機日本に来るんだって?」
 
シンジ
「そうなの?聞いてないよ」

ケンスケ
「いきなり起動実験込みで、米国から押し付けられたって噂だ。ま、末端の搭乗者は知らなくていい情報なんだろ?な~誰が乗るのかな~?」

シンジ
「知らないよ~、聞いてないから」

ケンスケ
「いいな~パイロット、俺にしてくんないかな~」

シンジ
「ぼ、僕に言われても」

トウジ
「ん?ち!ハズレかいな」

 トウジがハズレたものとは…

旧劇では、トウジが4thチルドレンとして、3号機のパイロットに選ばれることになります。
しかも、何もできないまま暴走を起こしてしまい、それをシンジのエヴァ初号機が攻撃するというショッキングな内容でした。

今回の新劇場版では、3号機のパイロットはトウジではないよということを、アイスのくじの「ハズレ」にかけて暗に伝えているシーンになっています。


 不安げなマリの表情

セリフはありませんが、トウジのアイスがハズレだったシーンの後、マリが不安げな表情で、渡り鳥の群れを見上げているシーンが映し出されます。

この映画は、ここまでのところ、全員がメンタル的に健全で、レイも含めて、とても人間臭い関係となってきているように描いています。

しかし、それはエヴァらしさが欠けていて、ここまでくるとさすがに、こんなはずはないという、この先の展開に不吉なものを感じます。

マリの不安げな表情は、仲良く群れて飛んでいる鳥達の、先行きを憂いているようにも思えます。
そして、この鳥の群れは、まさにエヴァの登場人物たちということもいえるのかもしれません。

 ゼーレ(Seele)との会議

Seele
「先に、エヴァンゲリオン5号機が失われ」

Seele
「今、同4号機も失われた」

ゲンドウ
「両機の損失は、計画の遂行に支障をきたしますが」

Seele
「修正の範囲内だ。問題はなかろう」

Seele
「エヴァ3号機は米国政府が是非にと君へ差し出した。君の国の政府も協力的だ」

Seele
「最新鋭機だ。主戦力に足るだろう」

ゲンドウ
「使徒殲滅は現在も遂行中です。試験前の機体は信頼に足りません。零号機修復の追加補正予算を承認頂ければ」

Seele
「試作品の役割はもはや終わりつつある。必要はあるまい」

Seele
「さよう、優先すべき事柄は他にある」

Seele
「我らの望む真のエヴァンゲリヲン。その誕生とリリスの復活をもって契約の時となる。それまでに必要な儀式は執り行わねばならん。人類補完計画のために」

ゲンドウ
「分かっております。すべてはSeeleのシナリオ通りに」

ゲンドウ
「真のエヴァンゲリヲン。その完成までの露払いが、初号機を含む現機体の務めというわけだ」

冬月
「それがあのMark.6なのか?偽りの神ではなく、遂に本物の神を作ろうというわけか」

ゲンドウ
「ああ。初号機の覚醒を急がねばならん」

 5号機、4号機が破壊され、6号機が本命?

月にあった、アダムの様なエヴァMark.6がSeeleが目指す本命機、零号機、初号機などは露払いに過ぎないと言わしめるほど。
この6号機(Mark.6)が神となって、月から箱根のネルフ本部のセントラルドグマに入ってリリスと接触することで、人類補完計画が達成されるということらしい…

使徒とリリスが接触すると、サードインパクトが起きて人類はほぼ絶滅してしまうという。
エヴァ6号機とリリスが接触すると、それが人類補完計画になる。
一体何が起こるのかは説明がありません。

 謎のグリーンバック

Seeleとの会議で、モノリスの様な石板(Sound Onlyと書かれている)が投影されていますが、話が済んだ途端に消えます。
すると、そこは壁や床、天井までもが全てグリーンに塗られた部屋。
すぐそばには冬月が立っている状態。

グリーンバック(またはブルーバック)は、背景にCGを合成する時に使用されるもので、ゲンドウと冬月は、Seele側では何か背景に合成された上で投影されているのでしょう。
しかし、そこにSeeleのモノリスが立体的に投影されているというのが、何やら不思議な光景です、しかも、冬月は消えています…

エレベーター(アスカとレイ) 

アスカ
「何で私の2号機が封印されちゃうのよ!」

リツコ
「バチカン条約、知ってるでしょ? 3号機と引き換え条件なの」

アスカ
「修理中の零号機にすればいいじゃない!」

マヤ
「2号機のパスは今でもユーロが保有しているの。私たちにはどうにもできないのよ」

リツコ
「現在はパイロットも白紙。ユーロから再通知があるまでは、おとなしくしてなさい」

アスカ
「私以外誰も乗れないのに」

リツコ
「エヴァは実戦兵器よ。全てにバックアップを用意しているわ、操縦者も含めてね」

アスカ
「そんな… 私の世界で唯一の居場所なのに」



レイ

「エヴァは自分の心の鏡」

アスカ
「なんですって?」

「エヴァに頼らなくていい。あなたには、エヴァに乗らない幸せがある」

アスカ
「偉そうなこと言わないで!エコヒイキのクセに!私が天才だったから、自分の力でパイロットに選ばれたのよ!コネで乗ってるあんた達とは違うの!」

レイ
「私は繋がっているだけ。エヴァでしか人と繋がれないだけ」

アスカ
「うるさい!アンタ碇司令の言うことはなんでも聞く、おすまし人形だから、ひいきされてるだけでしょ!?」

レイ
「私は人形じゃない」

アスカ
「人形~よ!少しは自分を知りなさいよ!  」

アスカ
「フン、人形のクセに生意気ね」

アスカ
「ひとつだけ聞くわ。あのバカをどう思ってるの?」

レイ
「バカ?」

アスカ
「バカと言えばバカシンジでしょ」

レイ
「碇君?」

アスカ
「どうなの?」

レイ
「よく、わからない」

アスカ
「これだから日本人は… ハッキリしなさいよ!」

レイ
「わからない。ただ、碇君と一緒にいるとポカポカする。私も碇君にポカポカして欲しい。碇司令と仲良くなってポカポカして欲しいと、思う」

アスカ
「分かった」

アスカ
「ほんと!つくづくウルトラバカね!それって好きってことじゃん!」

 観客(視聴者)に向けて語られている?

なんだか、この会話、成立しているのかいないのか…
レイは不器用ながらも、アスカに落ち込む必要が無いということを伝えようとしていたのだとは思いますが、「エヴァは自分の心の鏡」という言葉の意味が全く理解できません。

アスカの「なんですって? 」となるのは、当然の流れでしょう。
この言葉、実は観客(視聴者)へ向かって投げられているセリフではないかと考えることができます。
つまり、庵野監督がレイの言葉を使って、観客(視聴者)にメッセージを伝えているとも考えられるのです。

「エヴァは自分の心の鏡」
「エヴァに頼るな、エヴァが無かったとしても、そこに幸せはある」

でも、庵野監督自身は、エヴァを作ることでしか人と繋がれない、つまり、映画を作ることでしか、人々へ貢献することができない…

完全な深読みですが、そんなメッセージがあるようにも感じます。


 絆創膏の数

2号機を凍結され、零号機はそのまま存続されることに納得がいかないアスカ、そこにたまたま居合わせたエレベーターでのレイからの一言「エヴァは自分の心の鏡」

感情的になるアスカが思わず手をあげるが、レイに、その手を止められます。その時、アスカはレイの手の絆創膏の数が、以前よりはるかに増えていることに気づきます。

自分の絆創膏の数と比較し、レイがいかに手料理に励んでいるのかが分かり、そこで少し冷静さを取り戻しています。

それにしても、「ポカポカ」は良くできたセリフですね。

この言葉が耳について離れません(笑) 

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【前回】新劇場版 破 ヱヴァンゲリヲン   食事会へ向けて             (15.レイ・アスカの変化 )

 










  

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