前回は、ギリシャ神話の主役ともいえる「オリンポス12神」の成り立ちについてでした。
今回は、オリンポス12神にまつわるエピソードについて、お伝えしたいと思います。
あらためて ギリシャ神話「オリンポス12神」の一覧を見てみましょう。
ハデスだけ別枠なのと、ハデスを除いても13神なのは、前回ご説明したとおりです。
もしも、見ていない方はこちらからご覧下さい
⇒ ギリシャ神話 オリンポス12神!12神より多いんですけど・・・
ギリシャ神話 「 季節 」 の誕生
さて、今回のエピソードは「季節(Season)」についてです。
登場する主要なギリシャ神は
「ハデス」「ペルセポネ」「デルメル」になります。
ハデスとペルセポネは、オリンポス12神ではありませんが、
前回もお伝えしたとおり同格の扱いです。
季節について説明している神話・・・
「季節の成り立ち」について説明している神話って、意外と無いんですよね。
エジプト神話にも登場しませんし、神話ではありませんが聖書にもありません。
これは、エジプトや聖書の舞台となる国々が、四季を持たないからなのかもしれません。
しかし、残念ながら、四季のある我らが日本でも、古事記の中に神々が季節を作った
という箇所はありません。
ちなみに、ギリシャに四季はあると思いますか?
勝手なイメージですが、ギリシャって、なんとなく年中温暖そうですよね(笑)
ところが、ギリシャには、ちゃんと四季があります。
ギリシャ神話と言えば星座というくらい、切り離せないほど密接しています。
天文学が発達していたギリシャでは、季節ごとの星座(星)の動きを理解していまいた。
そんな国の神話ですから、季節がギリシャ・オリンポスの神々によって生まれたのだと、
説明する必要があったのかもしれません。
前置きが、すっかり長くなってしまいました(笑)
それでは、ギリシャ神話が語る季節の誕生について書いていきます。
季節の誕生は、ハデスの恋がきっかけ!?
冥界を治めるハデスは、毎日仕事に追われていました。
しかも、ず~っと暗い場所で、心を開いて話す相手もいません。
さすがのハデスも、地上が少し恋しくなり、こっそり地上をのぞいてみました。
その時、彼の目に飛び込んできた美しい女神がいました。
名前は「コレー」といって オリンポス12神の豊穣(ほうじょう)神 デルメルの娘です。
完全に、一目ぼれしてのぼせ上ったハデスは、ゼウスの所に行って「コレー」をお妃
(きさき)に迎えたい と相談します。
ゼウスからすれば、兄でもあり世界を3つ(①天空・地上 ②海 ③冥界)に分割した
そのうちの一つを担っているハデスですから、相談にのらないわけにもいきません。
早速、母親であるデルメルの所に行くのですが・・・
結果は、猛反対 (笑)
ゼウスは、なんとか説得しようと試みるのですが、デルメルは決して首を立てにふらず
時が過ぎていきます。
なんだか神々の話しではなく、まるで人間の世界の話のようですよね(笑)
ゼウスからの回答が無い事に、しびれを切らしたハデスは、デルメルの意志とは関係なく
コレーを冥界に王妃として迎え入れてしまいます。
また、この時コレーという名前が冥界の王妃にはふわさしくないということで、
勝手に ペルセポネ という名前にしてしまいました。
(コレーには「 乙女 」という意味がある)
なんとも強引な話ですよね、 このあたりはいかにも神話という感じがします
冥界の王のイメージ・・・
それにしても、冥界の王 というと、どんなイメージがありますか?
閻魔(えんま)大王 が思い浮かびませんか?(笑)
髭(ひげ)をはやした、すごく力強く、怖い神様のイメージがあります。
ハデスについても、怖く近寄りがたい神様として描かれている、本や映画もあります。
でも、私は、おとなしく、礼儀正しく、そして ピュア(純粋)な心の持ち主 な気がします。
ペルセポネは、どう思ったのでしょうか?
ペルセポネは、冥界に連れてこられた時にはハデスに心を閉ざしていましたが、
ハデスの人柄(神柄ですかね?)に触れ、だんだんと心を開いていきました。
一方、地上では大変な事が起きていました。
豊穣の神デルメルの、まさかのストライキ!!
豊穣(ほうじょう)の神デルメルが、娘のコレー(ペルセポネ)がゼウスの了承のもと、
ハデスに連れて行かれたと知り激怒!
仕事を完全に放棄し、ストの状態 に突入(笑)
豊穣(ほうじょう)の神様ですから、仕事を放棄されたとたん
穀物や野菜は枯れ、田畑は荒れ放題。
たまりかねた、ゼウスは仕方なくヘルメスを使いに出し
ペルセポネをハデスのもとから連れ戻そうとします・・・
さあ、いよいよここからが「季節」にまつわる話のハイライトです。
冥界での食事、柘榴(ザクロ)の実
ハデスは素直にゼウスの言うことを聞き入れ、ヘルメスにペルセポネあずけますが、
別れ際、最後の頼みとして、ペルセポネに次のように頼みます。
『 柘榴(ザクロ)の実を 4 粒 だけ食べて欲しい 』
ハデスの純粋な想いを感じていたペルセポネは、その願いを聞きいれます。
そして、4粒の柘榴(ザクロ)の実を口にします。
こうして、ペルセポネ(コレー)は母デルメルの待つ地上へと帰るのですが・・・
この柘榴(ザクロ)の4粒には、特別な意味 がありました。
冥界で食事をすると二度と地上には帰れないという掟(おきて)があったのです。
ただし、ペルセポネが食べたのは柘榴(ザクロ)の実 4粒なので、食事にはあたらず
12ヶ月間 のうち4ヶ月間、つまり1年の「3分の1」を冥界で過ごす事となりました。
思わず「何でやねんっ!」ってツッコミたくなります(笑)
こういう強引な掟(おきて)やルール、神話には多いんですよね~
というわけで、ペルセポネ(コレーの、ライフスタイルが次の様ようになりました・・・
- 1年の3分の2 を 地上 で、母である豊穣(ほうじょう)の神 デルメル と過ごす
- 1年の3分の1 を 冥界 で、冥界の神ハデス と過ごす
ペルセポネがいない4ヶ月間、豊穣の神デルメルは悲しみにくれ仕事をしなくなる為
農作物が育たない「季節」 が生まれたというものです。
「不作」の時期は 冬? それとも・・・
これが、ギリシャ神話の中で語られる「季節の誕生」のエピソードです。
では、農作物が育たない時期が 「 冬 」なのか?
というと、これについてはっきりと語られていません。
現代における解釈も分かれています。
「冬」としているものもありますが、ギリシャでは夏に干ばつが起きて不作になる
という事から「 夏 」としているものもあるようです。
日本人としては、やはり冬がぴったりくるような気がしますね。
それにしても、デルメル母さん、少し「子離れ」しないと・・・^^;
季節(season)の語源は・・・ひょっとして
季節は英語で season(シーズン)ですが、この英語 seasonの語源は
ラテン語から来ています(ギリシャの神々と同じです)
その英語のseasonに該当するラテン語は「satio 」 です。
この言葉は「種まきの時期」を表す言葉だそうです。
「 季節 」 と 「 種 」・・・
なんかピーンときませんか?
柘榴(ザクロ)の実って、ほとんど種ですよね。
季節の語源は、ギリシャ神話のこの柘榴(ザクロ)の逸話から来ているのでは?
と思えてなりません。
今度、時間がある時にでも、調べてみようと思います。
こういうのが、ギリシャ神話の楽しみの一つなんですよね(笑)
では、続きは、また!
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