「 トロイの木馬 」 コンピューターウィルスの分類名ですよね
「トロイの木馬が検出されました」とか、「Trojan horse 〇〇〇が検出されました」って出るとうんざりです(笑)
「トロイの木馬」って正確には、ウィルスには分類されないそうです。
ウィルスは、自らをコピーして次から次へとPCに感染していく自己増殖するプログラムですが
トロイの木馬は自己増殖はしないようです。
じゃ、「トロイの木馬」は、どうやって入り込むの?
実は、その答えこそが、この名前の意味になります。
今回は、「トロイの木馬」の名前の意味・由来に迫りたいと思います。
尚、これはシリーズ「ギリシャ神話」の第6回目となります。
トロイの木馬の特徴
「トロイの木馬は、一体どうやってPCに入り込むのか?」
もしも、ウィルス対策ソフトで「トロイの木馬」を検出した経験があれば思い出してください。 どんな時に検出されましたか?
多くの場合、何だかのプログラム・ソフトウェアをインターネット上からダウンロード・インストールした時だと思います。
そうなんです、トロイの木馬は、実はユーザー自身がインストールした時に入り込むんです。
もちろん、それがトロイの木馬だと分かっていれば誰もインストールしませんから、動画再生に必要なコーデックだったりと巧みに偽装しています。
- 偽装して入り込む
- ユーザーが自らがインストールする
この2つの事が、トロイの木馬 の特徴です。
それでは、由来について見て行きましょう。
トロイの木馬の由来
トロイの木馬は、ギリシャ神話に登場する話です。
トロイア(英語名:トロイ)と、ギリシャの戦争の物語の中で、この「トロイの木馬」は登場します。
では、どんな話なのか、あらすじを見てみましょう。
トロイの木馬 あらすじ
9年間にも及んだトロイア戦争、ギリシャ軍では、勝つためにどうしたいいのか、神託(神のお告げ)を行いました。
神のお告げとして、いくつか条件が出ました。
その中でも、次の二つが大問題でした。
- トロイアの城門を支えている梁(はり)を壊すこと
- トロイアが持つ、パラディオンという神像を持ち出す事
勝つために・・・という条件というよりは、ほとんど勝ってないとこの条件はクリアできないんじゃ!?
ってツッコミたくなる条件ですよね(笑)
「トロイの木馬」は、この難しい条件をクリアするためにオデュッセウスが考え出したものです。
船を解体して、その木材を使って、大きな馬の形の像をつくりました。
大きいだけで、武器ではありません。
しかし、実は中に空洞があって、そこに兵を忍ばせておくことができるようになっていました。
オデュッセイアは、ギリシャ軍の総大将であるアガメムノンに、夜のうちに、ギリシャの大船団をトロイアの入り江から、近くの場所に隠すよう伝えました。
そして、 数名の仲間と共に、トロイの木馬の中に乗り込みます。
外には一人、シノン だけを残し・・・
翌朝、トロイア軍は、目の前の海から、ギリシャの大船団がいなくなっていることに驚きました。
城門を開けて、入り江に行ってみると、そこには巨大な木造の馬が置かれています。
馬には、「アテナ女神に捧げる」「故郷に帰るため」 と書かれています。
シノンは捕らえられ、ギリシャ軍について聞かれます。
私は、神への贈り物を見捨てて去る事はできないので残った
それを聞いた、トロイアの王
こう言って、この木馬を城内に、引き入れようとしました。
トロイアの予言者のラオコーンと二人の息子が、これに反対をします。
すると、その時、海から大蛇が現れて、ラオコーンと息子たちを海に引きずりこんでしまいました。
王はそういって、この木馬を城へ運びいれました。
城内に運びいれる際、城門の梁(はり)に当たってしまい通らないため、梁(はり)を壊して引き入れました。
敵は引き上げてしまったのだから、城門を閉める必要もないと考えたのです。
城内へ引き入れた「木馬」を神へ捧げる儀式をすると、勝利への歓喜と、長かった戦争が終わった喜びで、トロイア城内は大宴会となります。
その夜、トロイア城がすっかり寝静まると、シノンは狼煙(のろし)をあげてギリシャ軍を呼び寄せ、 そしてオデュッセウス達は、木馬から出てきます。
オデュッセウス達は、パラディオンの神像を持ち出すことに成功します。
そして、城門の壊されている城に、ギリシャ軍は一気に攻め入ってトロイアは滅亡します。
こうして、トロイア戦争は終わりを告げます。
ラオコーン像
突然、海から大蛇が現れ、ラオコーン親子を海へ引きずりこんだことで、オデュッセウス達は窮地を救われることになります。
実は、ギリシャ軍を応援するポセイドンが送りこんだものでした。
(アテナという話もあります)
この大蛇に襲われる、ラオコーン親子の彫像があります。
バチカン美術館に所蔵されています。
襲われた瞬間をとらえた、すごい迫力です。
この彫像は、いつ作られたかははっきりとわかっていませんが、ローマで発掘されたものです。
この像の発掘を見に来ていたのが、あのミケランジェロ。
この像の表現に触発されて、自身の作品にも影響を与えたとか・・・
ルネッサンスの起こりに影響を与えた、作品として位置づけられています。
システィナ礼拝堂のミケランジェロの天井画や、ピエタ像、ラファエロの壁画などが有名ですが、この像は必見です。
是非、バチカン宮殿にいく事があれば見てください。
すごい迫力ですよ!
トロイの木馬の意味
オデュッセウスの見事な作戦で、ギリシャはトロイアに勝ちます。
それにしても、「城門の梁(はり)を壊す」ということを、トロイア自身にさせるところが見事ですよね。
さて、話をコンピューターへ進入する「トロイの木馬」に戻しましょう。
- 偽装して入り込む
- ユーザーが自らがインストールする
これが、特徴でしたよね。
この偽装して入り込むというのが、「神の捧げもの」という木馬の偽装、そして「木馬に偽装」して入り込むギリシャ兵と同じです。
そして、自らインストールする。
木馬は、トロイアが自ら城門を壊してまで、引き入れてしまいました。
まさに、コンピューターに被害をもたらす「トロイの木馬」は、名前の由来通りの動きをします。
これがトロイの木馬の意味です。
その他の、ギリシャ神話シリーズ
ギリシャ神話シリーズの目次はこちらより
⇒ ギリシャ神話シリーズの目次
まとめ
トロイの木馬プログラムの感染の特徴
- 偽装して入り込む
- ユーザーが自インストールする
トロイの木馬の由来はギリシャ神話
- 大きな木造の馬を造り、神への贈り物とみせかけ中に兵隊を忍ばせた(特徴1:偽装して入り込む)
- オデュッセウスが中に隠れて、トロイア軍に自ら城内に引き入れさせた(特徴2:ユーザーが自らインストールする)
あとがき
トロイアという国は、長い間、架空の国か実在の国か議論がされていました。
しかし、 1873年に、ドイツの国語学者ハインリッヒ・シュリーマンによって、発掘されます。
ただ、トロイアが存在していたことは証明されましたが、「トロイの木馬」が史実だったかまでは、さすがに分かっていません。
トロイア戦争自体も、本当にあったことなのか、これも議論が分かれているところです。
でも、ギリシャ神話の中で、現実の史実と結びつきが出てくるトロイア戦争は、ギリシャ神話ファンだけでなく 考古学や歴史の好きな人にとっても特別な話 となっています。
ギリシャ神話では、このトロイア戦争は「パリスの審判」というエピソードから始まります。
そして、トロイア戦争の英雄といえば、アキレス腱の名前の由来となっている「アキレス」です。
唯一の弱点だったんですよね・・・アキレス腱
さらに、トロイア戦争が終わって、オデッセウスの帰国の道のりを描いた「オデッセア」。
まだまだ、面白いエピソードなどが満載ですよね。
少しずつ、ご紹介していきます。
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