今日は、先日書いた、ブラックボックス(Black Box) についての2回目です。
前回では、ブラックボックスとは?という事で、一般的なブラックボックスの意味と、航空機事故において報道等で使用されるブラックボックスとは何を指すのか、そして、その内の一つである「ボイスレコーダー(CVR)」について話しました。
もしも、前回の投稿をご覧になっていない方は、こちらからご覧下さい。
⇒ ブラックボックスとは? 飛行機事故の解析に必要なもの その1
今日は、残りの一つ、「フライトレコーダー(FDR)」について話したいと思います。
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フライトレコーダー(FDR)
フライトレコーダー、正確にはフライトデータレコーダー(FDR :Flight Data Recorder)と呼びます。
これも名前の通り、フライト(飛行)のデータを記録している装置です。
では、どの様なデータを記録しているのかというと、これは航空法に定めがあります。
飛行機の年代によって、求められているものが若干違いますが、現在の飛行機は以下となります。
< 航空法 第149条より>
イ 時刻又は経過時間
ロ 気圧高度
ハ 対気速度
ニ 機首方位
ホ 縦揺れ角
ヘ 横揺れ角
ト 垂直加速度
チ 横加速度
リ 方向舵ペダルの操作量又は方向舵の変位量、操縦桿の操作量
又は昇降舵の変位量及び操縦輪の操作量又は補助翼の変位量
(非機械式操縦装置を装備している航空機にあつては、方向舵
ペダルの操作量及び方向舵の変位量、操縦桿の操作量及び
昇降舵の変位量並びに操縦輪の操作量及び補助翼の変位量)
ヌ 縦のトリム装置の変位量
ル フラップ操作装置の操作量又はフラップの変位量
ヲ 各発動機の出力又は推力
ワ 逆推力装置の位置
カ 航空交通管制機関と連絡した時刻
法律の文書な上、航空専門の用語が多くて、よく分かりませんね(笑)
これらを簡単に言うと・・・
「時間」「速度」「高度」「姿勢」「動翼の動き」「操縦士の操作」
こういったデータが保存されています。
つまり、これらのデータを解析する事により、事故に至る経緯が時系列的に、飛行機がどの様な状態にあって、そして操縦士がどの様な操作をしていたのかが、つぶさに分かります。
ブラックボックスの解析による事故の状態の再現
ニュースで何度も取り上げられている、アンドレアスルビッツ副操縦士が意図的に墜落させたという事も、このフライトレコーダーのデータを解析すれば簡単に分かるということになります。
ボイスレコーダーに記録されている 「 コックピット(操縦室)での各種会話 」 を解析すれば、操縦士(パイロット)同士のやりとりだけでなく、客室乗務員とのやりとりや、無線を通じで地上局とのやりとりも記録されています。
ドイツ旅客機の事故の例で言うと、機長(キャプテン)がコックピットの戻れなかった事などは、このボイスレコーダーを解析する事で分かります。
従って、フライトレコーダー(FDR)のデータと、ボイスレコーダー(CVR)のデータを使えば、以下の事が分かる為、完全に事故当時の状況を再現をすることが可能となります。
- コックピット(操縦室)でどの様なやりとりがあったのか?
- 操縦士(パイロット)が、どの様な操作を行ったか?
- 飛行機が実際にどの様な飛行をしたか?
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ブラックボックス搭載のきっかけ
では、これらブラックボックス(ボイスレコーダー 及び フライトレコーダー)の搭載は、いつから実施されているのかというと、日本ではきっかけとなる事故がありました。
1966年2月4日に起きた「全日空羽田沖墜落事故」がそれです。
全日空の727-100型機が、羽田空港に着陸に向かって進入中に突然消息を絶ち、4時間以上経ってから海上に墜落した事が確認された。
この時、ボイスレコーダーもフライトレコーダーも搭載されていなかったため、当時、運輸省と飛行機メーカーであるボーイング社、アメリカ連邦航空局(FAA)と共同で事故調査にあたったが、結局「原因不明」のままである。
この事故を受けて、日本国内で運航する航空機には、ブラックボックス ‐ ” ボイスレコーダー(CVR)とフライトレコーダー(FDR)”の搭載が義務付けられるようになったということです。
原因の究明
ボイスレコーダー(CVR)と フライトレコーダー(FDR)が事故の解析、原因の究明には無くてはならないものです。
事故から学び事故を繰り返さない。
そして、これから起きるかもしれない事故を、未然に防ぐ。
これには、ブラックボックスは欠かせない存在です。
原因をきちんと把握して、正しい対策をとるということが、飛行機事故だけに限らず、全ての基本だと思います。
ドイツ旅客機の墜落事故も、正しい対策がとられ、それが世界のエアラインで共有され、同じような事故が二度と起こらないようにしてもらいたいと思います。
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