「 聖書 」 日本では、キリスト教でもない限り、普段あまり見ることはないかもしれませんが、世界中で最も読まれている活字本です。
そんな、聖書には、実は、2種類あるんです。
旧約と呼ばれるものと、新約と呼ばれるものです。
旧約聖書は、神様がこの世を作った天地創造から始まり、アダムとイブや、ノアの方舟(はこぶね)、そして、モーセの十戒など、いろんな話がてんこ盛りです。
これに対して、新約聖書は、イエス・キリスが登場する話です。
同じ聖書でも、旧約と新約では、書かれていることが、まるで違うんですね。
でも、実は、この違いが、とても大きな違いなんです。
今回は、そんな聖書における旧約と新約の違いについて、せまりたいと思います。
それぞれの聖書
聖書といえばキリスト教というイメージがありますよね?
聖書はキリスト教の教典ですから、そいういうイメージが出来るのは当然です。
しかし、そのことが、旧約聖書と新約聖書の違いについて、次の様な誤解を生んでいる場合があるようです。
- 旧約聖書 = カトリックの教典
- 新約聖書 = プロテスタントの教典
世界史の「宗教革命」のところで、カトリックをから分離して誕生したのがプロテスタントと習うことが、カトリック=旧、プロテスタント=新というイメージに結びつくのかもしれません。
しかし、これは全くの誤りです。
実際には、カトリック、プロテスタント共に、旧約聖書も新約聖書も使っています。
旧約と新約での聖書の構成を、簡単にまとめてみました。
旧約聖書 | |
巻数 | 39巻 |
構成 |
歴史書 : 17巻 詩 : 5巻 予言 : 17巻 |
特徴 |
歴史書や予言が多い。天地創造から、古代イスラエル民族がどの様な歴史をたどったのかが書かれている歴史の物語風に語られている。 また、小さな部族でも、王国になってもイスラエルの民の主導者(部族長、王)は、基本的に、神の啓示を受け、その神の意志を伝える預言者としての役目も持つ。 こういった歴史物語、そして予言が多いのが特徴 |
新約聖書 | |
巻数 |
27巻 |
構成 |
福音書 : 4巻 歴史書 : 1巻 書簡 : 21巻 黙示文学 : 1巻 |
特徴 |
福音書とは、福音が書かれている書で、福音とはEvangelion(エヴァンゲリオン)で、良い知らせという意味。 基本的に全てにおいて、イエスの教えや行動についてが書かれている。 また歴史書としては、使徒行伝といって、イエスの死後の、弟子たちの活動などをが書かれている |
同じ聖書でも宗教が違う?
旧約聖書は、実はキリスト教以外に、別の宗教も使っているんです。
それは・・・ ユダヤ教です。
聖書は、ユダヤ教とキリスト教で次の様に使われています。
- 旧約聖書
ユダヤ教、キリスト教
- 新約聖書
キリスト教
ただ、注意が必要なのは、ユダヤ教の人々にとっては、聖書といえば旧約聖書しかないので、そもそも「旧約聖書」といった言い方はしません。
この聖書の旧約とか新約といった言い方は、キリスト教での言い方です。
なぜ、キリスト教は旧約と新約という教典(聖書)を使うのに、ユダヤ教は旧約だけなのか?
そのことに答える前に、まず、旧約と新約の意味について、整理しておきましょう。
旧約、新約の意味とは?
旧約・ 新約の「約」 これは、契約 あるいは 約束 のことです。
つまり、旧約は、昔の契約のことで、新約は、新しい契約ということになります。
では、いったい何の契約かというと、これは、神と人間との契約のことを言います。
この新旧の神の契約について、少し詳しく説明します。
旧約 モーセの十戒
モーセの十戒(じっかい)という言葉をご存知ですか?
モーセは旧約聖書の「出エジプト記」に登場する、紀元前13世紀頃の、古代イスラエル民族の指導者です。
旧約聖書は、天地創造の後、創世記、出エジプト記と続きますが、古代イスラエル民族の物語として語られていき、その部族長は、神からの啓示された意思を伝える役目もしていて、預言者とも言われます。
モーセは、そんな古代イスラエルの民の指導者で、預言者の一人です。
そのモーセが、シナイ山という山に一人こもって、神の啓示を受けます。
モーセの持っていた無地の石版に、人間が守らなければならないこととして十か条の文字が神により刻まれます。
映画などでは、赤い火の玉の様なものが刻んだりドラマチックなシーンに描かれるクライマックスの場面です(笑)
十か条には、どんなものがあるかというと、例をあげると次の様なものがあります。
- あなたは、私以外を神としてあがめてはいけない
- 神の身代わりとして何か像を作りあがめてはいけない
- 神の名を、みだりに唱えてはいけない
- 週のうち一日を安息日として、神を称える日にしなさい
- 父母を敬いなさい
・・・など全部で十個
十か条の 戒 めなので、十戒です。
このモーセの十戒が、神と人間との最初の契約です。
それでは、次に新約(新しい神との契約)について見てみましょう。
新約 イエス・キリストの教え
旧約聖書は、モーセの十戒を神との契約として、モーセ以降の歴史についても語られていきます。
そこで語られるのは、やはりイスラエル民族の部族長で、預言者を中心とした話です。
イスラエルはやがて国となり、ダビデ王や、ソロモン王といった王となりますが、それでも、預言者であることには変わりがありません。
これに対して、イエスは、モーセなどの予言者ではなく、神の子として登場します。
堕落した教会をはじめとする人間たちを戒めるために、イエス・キリストがこの世に使わされ
そして・・・
イエス・キリストの教えを信じる人が、神との新たな契約を結べるというものです。
これが神との、新旧の契約の意味です。
それでは、あらためて・・・
なぜ、キリスト教は旧約と新約という教典(聖書)を使いうのか?そして、ユダヤ教は旧約だけなのか?
これについて見ていきましょう。
ユダヤ教とキリスト教
キリストは、神との契約を新たに結ぶべく、この世に登場しています。
そして、私を信じる者だけが、神との新たな契約を結び、救われると言うんですが・・・
いきなり、目の前に、そんな人が現れたらどうですか? (笑)
信じてついていく人だけでなく、自分を神の子などという神を 冒涜 する者として糾弾する人達が出てくるでしょう。
特に、当時の教会の人達からすれば、いきなりやってきて、自分に従い神と新たな契約を結びなさい、と言われても、これを受け入れることなどできません。
つまり、イエスを救世主(キリスト)として認めませんでした。
ここで、それまで旧約聖書を唯一の聖書としていた人達は、ユダヤ教に・・・
キリスト教では、それまでの聖書を、旧約聖書と定義して、イエス・キリストの教えをまとめたものを新約聖書とします。
ちなみに、十字架(クロス)は、イエス・キリストが、人間の罪を背負って十字架にかかったというシンボルです。
したがって、十字架が付いている教会や聖書は、すべてユダヤ教ではなく、キリスト教のものとなります。
まとめ
- 旧約聖書
ユダヤ教、キリスト教の教典
神による、天地創造、アダムとイブの創造、そして、ノアの方舟、モーセ、ダビデなど、古代イスラエルの歴史が主に書かれている。
神との契約としてモーセの十戒がある。 - 新約聖書
キリスト教の教典
モーセの十戒を旧約とし、イエスというキリストの登場により、神と新たに契約を結び直す。
イエスを信じれば、神との契約を結ぶことができるというもの。
イエスの言動や、行動、そして、イエスが十字架にかけられて亡くなった後の、使徒たちの活躍などが、まとめられたもの。
ユダヤ教は、イエスをキリストとして認めていないため、旧約のみを教典とする。
もちろん、旧も新もないので、旧約聖書という呼び方はせず、純粋な聖書、旧約・新約はキリストの教における呼び方。
あとがき
聖書は、子供の頃、「聖書物語」という、イエス・キリストについて書かれていた本は読んだことがあります。
クリスマスの由来などに関係する、キリスト誕生からの物語ですよね。
それとは、別にアダムとイブの話や、モーセのエジプトから脱出する時に、海を2つに分けて、そこから逃げるなどという話は、子供の頃にずいぶんと見ました。
意外と、聖書って馴染みがないようで、生活に根付いていたりするんですよね。
世界で一番読まれている活字本
一度、聖書をきちんと通しで読んでみると、何か感じることがあるかもしれませんね。
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