「パンドラの箱 」 なにやら怪しい名前の箱ですね(笑)
パンドラの箱、パンドラ、一度はどこかで聞いたことがある名前ではないでしょうか?
では、その意味は? その言葉は、どういう使い方をするのか?ということになると
あまり知らないという人が、多いかもしれません。
この言葉は、「ギリシャ神話」 からきています。
今、一般的に使われている使い方は、実は、ギリシャ神話からすると
半分ナットク でも、半分しっくりこない という感じがします(笑)
ここでは、そんな「パンドラの箱」について、お話したいと思います。
ちなみ、これは、連載しています「ギリシャ神話シリーズ」の4話目となります。
他の話は、末尾のリンクから「ギリシャ神話シリーズの目次」に飛びますので、そちらからどうぞ。
パンドラの箱の意味、そして使い方
まずは一般的に使われているパンドラの箱の「意味」と「使い方」です。
「パンドラの箱 」 の意味
災い を抱えた状態
災いは、とりかえしのつかない大きなものから、ちょっとした小さな問題まで含む
「パンドラの箱」 の 使い方
パンドラの箱を開けてしまった !
【意味】 とりかえしのつかない問題を、引き起こしてししまった
パンドラの箱を渡された!
【意味】 大きな災いの種となる問題を、渡されてしまった
とりあえず、一旦その話は箱にしまっておこう
【意味】 とりあえず、一旦その話は置いておこう
日本人も使いますが、ギリシャ神話が語源なので、欧米人はよく使います。
「 Open Pandora’s Box (パンドラの箱を開ける)」という使い方が一般的です。
「一旦その話は置いておいて」 という時に、箱(Box)にしまっておくという言い方もよくします。
この「箱(Box)」は、パンドラの箱を意味しています。
パンドラ、パンドラの箱について(ギリシャ神話)
さて、パンドラについての話を簡単にしたいと思います。
ギリシャ神話では、神によって作られた人間の世界には、もともと「災い」がありませんでした。
そして、そこには男性しか存在していませんでした。
■ 神(ゼウス)からの贈り物
最高神のゼウスは、これを良しとせず、息子でもあるオリンポス12神の「ヘパイトス」に
人間の女性を作らせました。
その女性にゼウスが命を与え、そして 「全ての神からの贈り物」 という意味の名前を付けました。
それが、「パンドラ 」です。
パンドラを、地上の人間の元へ連れて行く際、ゼウスが一つの箱を渡しました。
これが「パンドラの箱 」です。
■ 絶対に開けてはいけない箱
箱(壺という説もある)を渡す時、ゼウスが意味深な事をパンドラに言います。
「この中に贈り物をいっぱいつめておいた、大切なものだから、絶対に開けてはいけないよ 」
「絶対に開けてはいけない」と言って渡されたものを、開けるなというほうが無理でしょう~この話を聞くと
いつも「 浦島太郎 」を思い出します(笑)
パンドラも最初は我慢していたんですが、ある日、退屈しのぎに開けてしまいました。開けた途端に、中から飛び出してきたのが・・・・
悲しみ・恨み・病気・死・盗み・裏切り・不安・争い・後悔 ・・・・などなど
列挙するだけで、気がめいります・・・(笑)
この世の災いが一気に、噴出してきました。
驚いたパンドラは、慌ててフタをします。
そうして、パンドラ自身が「悲しみ」や「不安」な気持ちになり、「後悔」の念にかられていました。
■ 箱に最後にあったもの・・・「希望」
すると、箱の中から・・・
「お願いですから出して下さい」という声が
これ以上絶対に出さないと、パンドラが強くフタを押さえていると、中から・・・
大丈夫です、私はさっきのような「災い」ではありません。
災いに押しのけられ、最後になってしまいました。
私は 「 希望 」 というものです。
パンドラが、おそるおそる箱を開けると、「ありがとう」と言って出てきました。
私は、これから人間と共にいて、災いから救います。
でも、それには、私の事を思い出してもらわないといけません。
災いは、いつでも人間に降りかかりますが、私(希望)は人間が気づいてくれないと、支えてあげることができません。
だから、私の事を忘れないで、いつでも思い出してください。
こうして、人間の世界に「災い」と「希望」が生まれたということです。
そうなんです、ゼウスは初めから、人間の世界に「災い」と「希望」をもたらすために、パンドラという人間の女性を作り、そして、災いと希望を詰めた箱を、パンドラが開けるようにわざと向けました。
現在では「パンドラの箱」に希望が無い?
なぜ、ゼウスは幸福だけの人間の世界を良しとせずに、そんなことをしたのか? という事は、一旦箱にしまっておいて・・・(笑)
ここで改めて、一般的に使われている 「パンドラの箱 」の意味や言葉の使い方を思い出してみましょう。
半分ナットク でも、半分しっくりこない そんな感じがしませんか?
そうなんですよね。 一般的に使われている「パンドラの箱」は、「災い」 しかありません。
「希望」が入ってくると、 会話が成り立ちません。
希望さんが、言っていた通り忘れられがちなんです本当に(笑)
実はよく分からない、ゼウスの意図
このパンドラの箱に対する、ゼウスの意図についてですが・・・
実は、よく分からないんです。
ギリシャ神話の伝承や説によって、ここの部分の解釈は色々あります。
先ほど、紹介したお話では「希望」を良いもの としてとらえていますが
実は「希望」も災いの一つと解釈している説もあります。
その説では・・・
「人間は、空虚な希望を持ち続ける事によって、常に災いにさらされながら、それでも生きていくことになった。」
なんだか、へこみますよね~(笑)
また、希望を意味する古代ギリシャ語「エルピス」には、「予兆」「期待」という意味もあり、それをを元にした伝承や説もあります。
そして、「予兆」や「期待」の意味を使った「エルピス」も、人間にとって良いものだったり、悪いものだったりと様々に解釈されています。
ゼウスは、一体人間をどうしようとしたんでしょう?
私は「災い」も含め、人間の成長の為に贈られたと信じたいですね(笑)
このあたりは他の宗教とも、つながるところがあるので、一番しっくりくるような気がします。
皆さんは、どう思いますか?
最後に・・・
「パンドラの箱」についてまとめると・・・
■一般的に会話の中では
- パンドラの箱の意味は、とりかえしのつかない災いを抱えた状態
- 使い方は、パンドラの箱を開ける ⇒ とりかえしのつかない事をする
■ギリシャ神話(原典)では
- パンドラの箱には、「災い」と「エルピス(希望・期待・予兆)」が入っている
- エルピスの解釈には、良いものという解釈と、エルピスも災いの一つという解釈がある
パンドラの話って浦島太郎も思い出すんですけど、聖書のイブにも共通していますよね。
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コメント
違いますね。
コメントありがとうございます。
面白くてギリシャ神話がもっと興味深くなりました
コメントありがとうございます。
返信が遅くなり申し訳ありません。
ギリシャ神話は、本当に面白いですよね。
日本の古事記やエジプトの神話とも似たような部分があり、とても興味深いです。
確かパンドラの箱の底に何か残ってたよね?と思い検索してみましたm(_ _)m
人によって解釈は、それぞれなのでしょうが私はKENKENさんの考えに納得です
幸せの青い鳥も、家にいた時は分からなかったみたいな話でしたよね?
そういう意味で、波乱万丈の人生の人の方が幸福感とか大きいのかも(*´∀`)とか思ってみたり
ありがとうございます。
返信が遅くなりすみません。
そうですよね、ゼウスやパンドラが本当に実在していたわけではなく、結局作成したのが人間、しかも哲学者の様な人たちと考えると、
やはりそういう要素を持たせていたんだと思います。
「未来予知=自分の死ぬ時期を知る」って言う「災い」が入っていて、それが飛びててくるのを防いだから、人は「生きる事に絶望しないで済む=希望」って意味の教訓的な話じゃなかったでしたっけ?
ありがとうございます。
返信が遅くなりすみません。
そんな話もあるんですか!? それは初めて聞きました。色々とあるんですね~
人を滅ぼすため。現に核のゴミを押し付けあっている。
ありがとございます。
返信が遅くなりすみません。
核の問題は、まさにパンドラの箱(悪い意味での)ですよね。
でもこの核の問題を解決していくことこそが、人間の智であり、そこに希望を見出したいです。
確かゼウスからエピメテウスへ贈った女性がパンドラで、あった様にならったのですが?
ありがとうございます。
返信が遅くなってすみません。
そうです、プロメテウスの弟のエピメテウスに贈られたものです。
一応、ティターン神の流れを組んではいるのですが、住んでいたのは人間の世界なので、ゼウスの意図としては人間に火を与えたプロメテウスへの復讐もこめて
弟を介して人間界にパンドラを送りこもうという意図があります。
[…] パンドラの箱を開けちゃう感じかな。 […]
悪い事も、いい事も、目の前にある。
が、人は、最後までやらないから、
途中で諦めてしまうので、真の結果が、わからないのである。 これは僕個人の、理論である。
ありがとうございます。
返信が遅くなりすみません。
最後までやらないから真の結果がわからない… 素晴らしい考え方ですね。
私も、力を尽くさないと
パンドラの箱に何が入っていたかでなく
パンドラが開けてはいけない箱を開けてしまいった
動機や知への欲望の方に興味あります。
浦島太郎も開けてはいけないと言われると開けてしまう。
人間というものに生まれ持っている知ることへの欲望。
たとえそこに災厄が隠されていたとしても。
そこに災厄とともに希望があったとしても。