「地震 」 大きな地震が、日本だけでなく世界で起きていますよね。
ニュースで地震の被害が映るたびに、その怖さを思い知らされます。
地震のニュースで必ず報道されるのが「マグニチュード」
M7.3 だとか M5.0だという様に数値で表されます。
なんとなく数値が大きければ、大きな地震というイメージがあります。
でも、揺れに関しては「震度」という数値があります。 震度3 とか 震度5弱とか・・・
これらの2つの数値って、一体何が違うんでしょうか?
なんだか、気になるけど、難しそうだしって・・・
ついつい、そのままに、しちゃいますよね(笑)
今回は、マグニチュードと震度の違いを、分かりやすく説明します。
震度とは?
震度とは、「 観測点で測る揺れ 」 のことです。
全国に約4400ある、観測点で測定を行っています。
震度の階級は、0 ~ 7 の 10階級です (震度5と6は、それぞれ強弱があります)
実は、以前は「体感」や周囲の状況を実際に見て、決めていました。
観測所の人達が「まぁ、こんなとこだろう」と決めていたんですね(笑)
平成8年(1996)4月以降は、「計測震度計」による観測による数値となっています。
震度階級 | 計測震度 | 体感・状況 |
0 | 0.5未満 | 揺れを感じない
|
1 | 0.5以上 1.5未満 |
揺れをわずかに感じる人もいる
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2 | 1.5以上 2.5未満 |
屋内にいる多くの人が揺れを感じる
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3 | 2.5以上 3.5未満 |
屋内のほとんど人が揺れを感じる 電線が少し揺れる |
4 | 3.5以上 4.5未満 |
歩いている人も揺れを感じる 眠っている人が起きる 棚の食器が揺れて音を立てる |
5弱 | 4.5以上 5.0未満 |
何かにつかまりたくなる。書棚の本が落ちる 不安定な置物などが倒れる 電柱が揺れる |
5強 | 5.0以上 5.5未満 |
歩行が困難になる 家具が倒れることがある 窓ガラスが割れることがある / ブロック塀が倒れる |
6弱 | 5.5以上 6.0未満 |
立っている事が困難 家具が倒れるか移動する / ドアが開かなくなることがある 壁のタイルや窓ガラスが破損して落ちてくることがある |
6強 | 6.0以上 6.5未満 |
立つ事ができない 家具が移動し、倒れるものが多くなる 多くの建物で壁のタイルや窓ガラスが破損して落ちてくる |
7 | 6.5以上 | 動くことができず、飛ばされることがある 家具の多くが転倒・移動・飛ぶこともある さらに多くの建物で壁やガラスが割れて落ちる |
詳しい情報は、こちらを参照して下さい。
気象庁リーフレット「震度階級表」
⇒ https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/kaikyuhyo/kaikyuhyo_a2.png
震度については、防災訓練等やテレビでも、説明がされることが多いので、特に問題はないでしょう。
さて、次に、問題(?)の、マグニチュードについて見て行きましょう。
マグニチュードどは?
震度は、観測地点で観測された揺れの大きさでした。
これに対して、マグニチュードは、「地震そのものの規模(エネルギー)」のことをいいます。
地震の規模とは?
地震の規模(エネルギー)と言われても、ピンときませんよね?(笑)
もう少し、分かりやすく説明します。
台風を思い浮かべてください。
台風が報道される時、最大風速33m といったように報道されますよね。
この台風でいう最大風速を、地震でいうところのマグニチュードです。
ここで、マグニチュードと震度の関係について、整理しましょう。
震度とマグニチュードの関係
マグニチュードが大きいと、震度も大きいと思われがちです。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
次の図を、ご覧下さい。
この図の左と右とで比較してみましょう。
マグニチュードは、左が大きいです。
しかし、震度は、右の方が大きいです。
なぜ、こんなことが起きるのか?
それは、矢印の長さを見ても分かるように
震源から距離 です。
いくらマグニチュードが小さくても その震源に近ければ、震度は大きくなります。
台風を例にとれば、マグニチュードは最大風速でした。
台風をかすめて通る場所と、直撃を受けた場所では、同じ最大風速の台風でも実際の、その地点の風速は変わるのと同じ事です。
実際の、震度は、単純に距離だけではありません、もう少し複雑です。
上の図をご覧下さい。
地盤の影響により、震度に違いが出ます。
地盤が軟らかいほうが、振動しやすく、同じ、マグニチュードであっても震度は高くなります。
このように、マグニチュードと震度は、必ずしも「比例」の関係には無いので、震度階級表の様に、マグニチュードと震度と体感・状況の対比表は作れません。
次に、実際に起きた地震と、そのマグニチュードについての表を見てみましょう。
マグニチュードと実際に起きた地震
マグニチュードと実際に起きた地震についての一覧です。
大正時代以降の、地震名がついたもののリストです。
マグニチュード | 最大 震度 |
発生年月日 | 実際に起きた地震名 |
6.8 | 6 | 大正14 1925/5/23 |
北但馬地震 |
5 | 昭和20 1945/1/13 |
三河地震 |
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6弱 | 平成13 2001/3/24 |
芸予地震 |
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7 | 平成16 2004/10/23 |
新潟県中越地震 | |
6強 | 平成19 2007/7/16 |
新潟県中越沖地震 | |
6.9 | 6強 | 平成19 2007/3/25 |
能登半島地震 |
7.1 | 6 | 昭和23 1948/6/28 |
福井地震 |
7.2 | 6 | 昭和18 1943/9/10 |
鳥取地震 |
6強 | 平成20 2008/6/14 |
岩手・宮城内陸地震 | |
7.3 | 6 | 昭和21 1927/3/7 |
北丹後地震 |
6 | 昭和5 1930/11/26 |
北伊豆地震 | |
7 | 平成 7 1995/1/17 |
兵庫県南部地震 (阪神・淡路大震災) |
|
6強 | 平成12 2000/10/6 |
鳥取県西部地震 | |
7.7 | 5 | 昭和58 1983/5/26 |
日本海中部地震 |
7.8 | 5 | 平成5 1993/7/12 |
北海道南西沖地震 |
7.9 | 6 | 大正12 1923/9/1 |
関東地震 (関東大震災) |
6 | 昭和19 1944/12/7 |
東南海地震 | |
8.0 | 5 | 昭和21 1946/12/21 |
南海地震 |
6弱 | 平成15 2003/9/26 |
十勝沖地震 | |
8.1 | 5 | 昭和8 1933/3/3 |
昭和三陸地震 |
9.0 | 7 | 平成23 2011/3/11 |
|
東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0ですね。
実際の、地震のエネルギーは、どれくらいなのか?
次に、それを見てみましょう。
マグニチュードとエネルギー
地震のエネルギー(J:ジュール)とマグニチュードの関係は、次の式で表されます。
E :地震のエネルギー
M :マグニチュード
log10E = 4.8 + 1.5 M
対数(log) ですね、苦手な方も多いかもしれません。
普段の生活ではまず使わないですもんね。
でも、ここでは小難しい数学や物理は出てきませんから、もう少しおつきあいください(笑)
数値が、あまりに大きくなって桁数が増える場合には、対数をつかって、扱いやすくします。
マグニチュードも、そうやって扱いやすくしているということですね。
⇒ 対数(log)の計算と公式!これでもうバッチリ!!
では、実際にエネルギー(ジュール)を求めてみましょう。
ここでは、分かりやすく、実際に計算していきますね。
まず、東日本大震災の、マグニチュード9.0のエネルギーからです。
まず、公式のMに、 9.0を代入します。
log10E = 4.8 + 1.5M = 4.8 + 1.5 × 9.0
log10E = 18.3
この対数の式を展開すると、Eは次の様に求められます。
E = 1018.3 ≒ 2.0 × 1018 ジュール
これは、実は、とんでもない値です!
この値は、年間の国の発電量に匹敵します。
(1999年の、カナダ、イギリス、フランスの年間発電量が、ほぼ同じです)
次に、過去の地震と東日本大震災を比較してみましょう。
- 東日本大震災 : マグニチュード9.0
- 関東大震災 : マグニチュード7.9
- 阪神淡路大震災 : マグニチュード7.3
それでは、まず関東大震災と比較をします。
- Eα : マグニチュード9.0 時のエネルギー
log10Eα = 4.8 + 1.5 × 9.0 = 18.3 - Eβ : マグニチュード7.9 時のエネルギー
log10Eβ = 4.8 + 1.5 × 7.9 = 16.65
log10Eα - log10Eβ = 18.3 - 16.65 = 1.65
これは、次の様に、書き替えられます。
log10( Eα / Eβ ) = 1.65
Eα / Eβ = 101.65 ≒ 44.67
つまり、東日本大震災は関東大震災の約45 倍のエネルギーです。
続いて、阪神淡路大震災(マグニチュード7.3)と比較をします。
- Eα : マグニチュード9.0 時のエネルギー
log10Eα = 4.8 + 1.5 × 9.0 = 18.3 - Eβ : マグニチュード7.3 時のエネルギー
log10Eβ = 4.8 + 1.5 × 7.3 = 15.75
log10Eα - log10Eβ = 18.3 - 15.75 = 2.55
これは、次の様に、書き替えられます。
log10( Eα / Eβ ) = 2.55
Eα / Eβ = 102.55 ≒ 354.81
つまり、東日本大震災は阪神・淡路大震災の約355 倍のエネルギーです。
東日本大震災の、マグニチュード9.0
やはり、とんでもないエネルギーだったことが、分かりますね。
それでは、まとめましょう。
まとめ
- 震度は、実際の観測地点での揺れ
(0 ~ 7 の10段階表記) - マグニチュードは、地震のエネルギーの指標値
あとがき
それにしても、地震はやはり桁違いのエネルギーですね。 対数が使われるわけです。
いくら文明が発達しても、地震や台風などを前にすると無力ですね。
科学技術の進歩は、素晴らしい事だと思いますが、自然を制御できるかというと それは、人間の思い上がりなんでしょうね。
どんなに、科学が進歩しても、自然は征服するものではなく、共存していくものなのでしょう。
進歩はしていかなければなりません、それが人間の使命の様な気がします。
しかし、同時に自然と真摯に向き合えるかどうか、人間の本当の智恵を試されている気がします。
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