生活で、食卓に並ぶお茶碗や、お皿などの器。
普段、使うものだけに、愛着のわくものを、使いたいですよね。
こだわっている方も多いと思います。
そんな器に、種類があるのを、ご存知ですか?
「 陶器 」(とうき) と 「磁器 」(じき) です。
普段、あまり意識しないで使っているかもしれませんね。
でも、意外と簡単に、見分けがつきます(笑)
磁器 と 陶器には、それぞれ特徴があるので、それを知って使わないと破損させてしまったりすることにもつながります。
お気に入りの器を大事に使うためにも、そして、見つける上でも役にたちます。
是非、陶器と磁器の違い、そして見分け方について、理解をしておきましょう。
器の各部の名称
陶器と磁器の違い、見分け方に入る前に、まず、器の各部の「 呼び方 」(名称)を押さえておきましょう。
後々、器のお店や、陶磁器の工房に買いに行った時にも、役に立ちますので、是非しっかりと押さえておいて下さい。
押さえるといっても、これだけです(笑)
さて、それでは、いよいよ「陶器」と「磁器」の違いを見ていきましょう!
陶器と磁器の違いと特徴
まず、陶器と磁器について、その造りの上での特徴をお伝えします。
- 原料 : 陶土(とうど) と長石(ちょうせき)、珪石(けいせき)
- 焼成温度 : 800度 ~ 1200度
- 特徴 : すこし吸水性があり、光は透過しない。
- 呼称 : 粘土で作られるので 「 土(つち)もの 」
- 原料 : 陶石(とうせき)と長石(ちょうせき)、珪石(けいせき)
- 焼成温度 : 1200度 ~ 1400度
- 特徴 : 吸水性が無く、光を透過させる。
- 呼称 : 石で作られるので 「 石(いし)もの 」
違いを見た目で見分ける「3つのポイント」
それでは、陶器と磁器 を見た目で、見分ける 「3つのポイント」です。
ポイント1 : 高台の素地の色、質感
実は、ほとんどは、ここで見分けることができます。
一番重要なポイントです。
高台の素地(きじ)の「 色 」と「 質感 」でほとんど分かります。
磁器は、陶石の色の白さが特徴です。
ただ、陶土によってはかなり白っぽいものもあります。
そんな場合でも、触れば分かります。
ざらざらしている場合には、陶器、しっとりとなめらかなら磁器です。
この3つのお椀は、以下の様な特徴があります。
A : 高台 及び 畳付 の 色 は、茶褐色
触るとざらざらしている
B : 高台 及び 畳付 の 色 は、白
触るとAよりはなめらか(少しざらざら)
C : 高台 及び 畳付 の 色 は、白
触るとしっとりとなめらか
さて、どれが陶器で、どれが磁器でしょうか?
答えは、A、B が陶器 C が磁器です。
B は、やや分かりにくい例です、かなり白っぽい陶土を使っています。
しかし、同じ白でも、磁器の白は透明感のある白です。
また、触った時の滑らかさは、磁器と陶器では、比べ物になりません。
ポイント2 : 薄手のものは磁器
磁器の方が、硬度が高いため薄手に作ることが出来ます。
もちろん、使用目的や作品として厚手に作られている場合もあります。
砥部焼などは、全体的に厚みのある器が特徴だったりします。
でも、逆に言えば、陶器では薄手のものは、なかなか造れません。
薄いものであれば、まず磁器とみて間違いありません。
また、薄い磁器は、光にかざすと透ける特徴があります。
比較をしないと、ちょっと分かり難いんですが、磁器は、硬くて薄いので、叩いた時の音が、「キン」という澄んだ音がします。
陶器では、薄いものでも光は通しません、また音も少し、くもったような音がします。
ポイント3 : 釉薬(ゆうやく)の風合い
陶器は、釉薬のかけかたで風合いを出します。
陶器は、土で出来ているので肌合いが少し荒く、釉薬のかかり方も、少しムラになったりします。
しかし、それが独特の表情となり、二つと同じものが無いのが陶器の特徴です。
そのムラにより、見た目だけでなく、持った感じがで、少しボコボコした感じがします。
一方、磁器は、ほとんどが均一にキレイに釉薬をかけるため、ムラや垂れなどの表情が無いものがほとんどです。
磁器は、釉薬のかかり方で風合いを出すのではなく、絵付けや形の美しさなどで、表情をつくります。
陶器と磁器の違い(動画)
陶器と磁器の違いについて、簡単に説明している動画がありましたので、ご紹介します。
陶器と磁器の使用する上での注意点
陶器と磁器では、以下の点に気をつけて使用して下さい。
陶器の場合には、吸水性があるため、盛り付けた料理の汁や臭いを吸着してしまいます。
料理の前に、30分程度水につけておくおとで、こういったことを防ぐことができます。
また、臭いだけでなく、長くつかっていくとシミなどにもなるので、大事な陶器は水につけてから使いましょう。
磁器には、この必要はありません。
電子レンジ
電子レンジでの使用は、基本的に問題は、ありません。
陶器は、磁器に比べ水分を吸っているので、熱で膨張して影響を受けるということも考えられますが、普段使い用に造られている食器であれば、あまり気にする必要はありません。
とても、高価で大事にしているものであれば電子レンジの使用はさけましょう。
金や銀をあしらったものは、燃えてしまいますので使用はできません。
まとめ
陶器の特徴
- 陶土という粘土から作られている(土もの)
- 吸水性がある、光は透さない
磁器の特徴
- 陶石という石から作られている(石もの)
- 給水性はあまりない、光を透す
陶器と磁器の見分け方
ポイント1
高台の素地の色と質感
高台が白で、質感がなめらかなものは磁器
ポイント2
薄手のものは磁器
磁器は、 薄手で光に透ける、また叩くと「キン」という高い音
ポイント3
釉薬(ゆうやく)の風合い
塗りムラが無いのが磁器
手にとってみて、少しボコボコ感じるものは陶器
使用する上での注意点
-
- 陶器は、使用の前に30分程度水につけておくと臭いや汚れがつきにくい
- 電子レンジは、どちらも問題ないが、高価な陶器は避けたほうがよい
- 金や銀など金属をあしらったものは絶対NG!
あとがき
実家が茶道教室をやっていて、お茶室もあったので
子供の頃から焼き物にも、割と慣れ親しんでいました。
ただ、昔恥ずかしい思いをしたことがあります。
備前焼だと信じて、買ってきたフリーカップがあったんですけど・・・
しばらくして、高台の畳付の部分が白いことに気が付きました(笑)
あれ?なんだコレ・・・磁器じゃん!
備前焼きは、磁器なんて造っていません。
後で知ったのですが、これ「備前映し」っていうしろものでした。
もちろん備前焼ではありません(恥)
それからというもの、高台、畳付には、うるさくなりました(笑)
焼き物に、詳しくなる一番良い方法は、馴染みの器のお店を見つけることです。
出来れば、色んな種類の陶器・磁器を扱っているお店がいいです。
そこで、何でも質問すると、たいていは親切に教えてくれます。
知識が深まると、器は本当に楽しいです、生活が豊かになります。
決して高価な器である必要はありません。
楽しみながら、普段使えて、豊かになれる、そんなアイテムが器です。
コメント
ご説明よくわかりました。
ところで、「李朝白磁」は、どう見ても磁器より陶器に見えるのですが、あれはどういうことでしょうか。
ありがとうございます。
返信が遅くなりすみません。
李朝白磁は、粉引なので名前は白磁であっても陶器です。
「使用前に水につける」 や 「まとめ」
のところで 給水性 とあるのは 吸水性 の変換ミスと思われます。
ご指摘ありがとうございます。
訂正いたします。
磁器と陶器の見分け方が解りやすく記述されていたので助かりました。
ありがとうございました。
器の各部の名称の図の中の「銅」は「胴」の間違いですね。
また電子レンジの使用に関して「金や銀をあしらったものは、
燃えてしまいますので使用はできません。」は表現が不正確では?
陶磁器やあしらわれた金銀そのものが燃えるわけではありませんよね。
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