パスタ をゆでる時に、必ず入れる「塩」
でも、不思議に思ったことありませんか?
同じ小麦粉から、できている「うどん」は塩なんて入れないのに、なぜパスタだけ?
それに、ゆでる時の塩の量も、人によって「ひとつまみ」だったり「海水並み」だったりとまちまち・・・
実は、これには明解な答えがあります。
是非、実践してみてください。
今回は、パスタをゆでる時に入れる塩の理由について、見ていきます。
パスタを塩でゆでるのは、なぜ?
実は、うどんには、生地にすでに塩が含まれています。
これに対して、スパゲティやマカロニといったパスタには、塩が含まれていません。
塩を入れてゆでるのは、次の2つの理由からです。
- 塩味(下味)をつけるため
- 食感をよくするため
まず、1番 塩味をつけるため から順に見ていきましょう。
塩味(下味)をつける
恐らく、一般家庭より、イタリアンのシェフの方が、多く塩をいれます。
最低でも、 ゆでる水の1% ( 1リットルだったら10g)ですが、シェフによっては2.5%以上入れます。
よく、海水の塩分濃度でといいますが、まさにそんな感じです。
(実際の海水の塩分濃度は、3.5%なので、さすがに多すぎ)
有名なイタリアン・シェフが、テレビの番組で自身のお店を紹介されている時、やはり2.5%くらいの塩水で、パスタをゆでているところが紹介されていました。
あまりに塩辛いお湯だったので、驚いたリポーターが理由を訊ねたところ
その答えが・・・
「パスタにしっかりと、下味(塩味)をつけるためです」
と断言していました。
その方が言うには、家庭で入れているような塩の量(0.5%程度)では、塩味がパスタにつかず、入れても入れなくても変らないとのことでした。
個人的には、あまり塩気を感じないほうが好きなので、それだったら、塩は、入れなくてもいいかな・・・
と思っていたのですが
実は、次のことを知って、今ではバンバン入れています(笑)
食感をよくする
パスタをゆでる時に、塩を入れるのは、この食感をよくするというのが最大の理由です。
乾麺をゆでる場合に、パスタの食感とえば二つあると思います。
- アルデンテ(芯が残った状態)の食感
- うどんと同じように、表面はツルツル・シコシコとした食感
グルテンとデンプン
パスタの食感の話をする上で、小麦粉の話をしないわけにはいきません。
ちょっとだけ、おつきあい下さい(笑)
ただの小麦粉が、パスタの生地にできるのには、理由があります。
それは、小麦粉に含まれている、たんぱく質に水を入れてこねることで出来る「グルテン」があるためです。
グルテンは粘弾性があり、これが「つなぎ」の役割を果たします。
パスタに使用される、デュラムセモリナは、小麦粉の中でも、タンパク質を多く含んでいます。
つまり、グルテンが多いということです。
そして、パスタの美味しさは、デンプンです。
このデンプンは、ゆでることによって、水と熱で糊化(こか)してやわらかくなります。
パスタが、ツルツル・シコシコの食感になるのは、でんぶんが水と熱で、糊(のり)の様な状態になるからです。
塩の働き
実は、塩には、この糊化(こか)を、遅らせる作用があります。
従って、塩を入れてゆでたパスタは、周りがもちもちで、芯は残る、アルデンテパスタになりやすいのです。
但し、これには、かなりの塩を入れないとダメです。
ゆでる水、1リットルに対して、25g 以上は入れないと、その効果はないと言われています。
つまり、2.5%以上です。
多くのイタリアンシェフが、パスタをゆでる時に、この2.5% にしているというのは
下味以外にも、この食感をつくるためだったんですね。
実際に作ってみました
これ、実際に作ってみると、プリプリのシコシコに仕上がります。
2リットルの水に対して、50g の塩をいれました。
ただし、これ・・・・・「しょっぱい」です(笑)
しかし、これも、簡単な方法で解決できます。
ゆであがったパスタを、ザルにあげたら、うどんを水洗いするように、パスタを少し熱めのお湯でざっと周りの塩を洗い流します。
これで、アルデンテで、しかもツルツルとした食感は失われず、ほどほど塩気のある美味しいパスタができます。
全然、仕上がりが違うので、おススメです。
ただ、お子さんが多くいる家庭でパスタを作るのに、毎回そんな大量の塩を使うのは、現実的じゃないですね・・・(笑)
おまけ : うどんは、なぜ塩を入れてゆでないのか?
パスタは、分かったけど、じゃ、うどんはなぜ塩水でゆでないのか?
気になりますよね?
うどんについて、少しだけ見ていきましょう。
うどんの生地
うどんを塩水でゆでない理由は、簡単です。
答えは、うどんには、多くの塩が含まれているためです。
つまり、うどんの生地を作る際、すでに塩を混ぜているんですね。
では、なぜ、うどんの生地に、塩を入れる必要があるのでしょうか?
そこに、どんな理由があるのかを見ていきましょう。
塩の働き、糊化以外にも・・・
グルテンについては、さっき話したとおりです。
うどんでは、水だけでなく塩も加えてこねています。
塩は、糊化をさせる作用がありました、しかし、実はそれ以外に、たんぱく質にも作用します。
これを、収斂作用(しゅうれんさよう)といって、タンパク質を変性させグルテンを縮める作用として働きます。
つまりグルテンの粘弾性が変わり、コシのあるうどんが出来ることになります。
塩が、あのうどんのシコシコとした、コシを作っていたんですね。
塩味は?
塩が、うどんのコシを作るのに役立つことはわかりました。
では、味のほうはどうなんでしょうか?
うどんはゆでることで、75%くらいの塩分は抜けてしまいます。
100gのうどんの中に、食塩で0.3g程度ですから、しょっぱさは感じません。
逆に、塩気のある汁を、かけて食べるくらいです。
まとめ
- 塩味(下味)をつけるため
- 食感をよくするため
ただし、塩分濃度2.5%程度のお湯でゆでる必要がある
(水2リットルだったら、50gの塩)
塩気を減らしたい場合には、ゆであげた後すぐ、熱いお湯で洗う
あとがき
これ、本当に試してみると一目瞭然です。
1%濃度の塩のお湯でゆでた場合と、明らかに違いました。
中はしっかりとアルデンテで芯があるのに、周りはかなり糊化していて ソースがからみやすいし、フォークで巻き取りやすい、最高の状態です。
なぜ、多くのプロが、こんなに塩を入れるのかというと
そこには、やはり理由があったんですね~・・・
今まで、プロの様なアルデンテが家庭で作れないのは、パスタをゆでる
お湯の量の差だと、ず~っと思っていました。
今回、それが塩の量だと、確信しています。
今まで、塩からくなるのがイヤで、避けてきましたが、うどんが水洗いするのにヒントをもらい試してみて、本当にビックリでした(笑)
まだ、スパゲティーニでしか試していないので、今度はペンネなどでも 試してみようと思います。
皆さんも、是非試してみてください。
本当に、美味しいです!
コメント
[…] にもう塩がたくさん含まれてるからとか http://kenyu.red/archives/2646.html […]