「サードウェーブ」という言葉をご存知ですか? 英語の Third(3rd) Wave 、日本語に訳すと「第3の波」です。
コーヒーの業界が、今まさに第3の波の中にあります。
「サードウェーブコーヒー」です。
この、サードウェーブコーヒーを牽引するのが、あのコーヒー業界のAppleと呼ばれる・・・
ブルーボトルコーヒー(blue bottle coffee)です。
でも、いったいサードウェーブコーヒーとは、何なのか?
それまでの、コーヒーと何が違うのか?
そんな、サードウェーブコーヒーにせまりたいと思います。
どこで起きている「波」なのか?
さて、コーヒー業界にやってきたサードウェーブ(第3の波)ですが、これって一体どこのコーヒー業界なのでしょうか?
「それは、当然、日本でしょ!?」
と思ったら、実はこれが、そうじゃないんです(笑)
このサードウェーブは、アメリカのコーヒー業界で起きている「波」 なんです。
サードウェーブ(第3の波)というからには、当然ファーストウェーブ(第1の波)と、セカンドウェーブ(第2の波)もありました。
これらの、アメリカコーヒー業界の第1~3の波が、なぜ、こんなにも日本で話題になるかというと、アメリカのコーヒー業界の影響を、日本は大きく受けるからなんですね。
スタバの日本進出や、ブルーボトルが、まさにそうです。
それでは、そんなサードウェーブとそれまでの波が、日本のコーヒー業界にどんな影響を与えたのか、順に見ていきましょう。
日本の喫茶店と外資系コーヒー店の違い
サードウェーブとは何か?そして日本のコーヒー業界へどんな影響をあたえたのか?
これらを、説明する前に、まず、日本の喫茶店にどんな特徴があるのかを、はっきりとさせておきましょう。
そうしておくことで、このアメリカのコーヒー業界の「波」が、より分かりやすくなります。
日本の喫茶店の特徴
日本の喫茶店やカフェといっても、昔ながらの喫茶店や、コメダ珈琲、星乃珈琲などのチェーン系列まで、色々あります。
しかし、ここでは、昔ながらの喫茶店の特徴を、日本の喫茶店として挙げます。
- コーヒー豆の種類を何種類も扱う
- ドリップやサイフォンで一杯一杯丁寧にいれてくれる
- 焙煎など豆にこだわる
昔ながらの、喫茶店というと、こんな感じでしょうか・・・
ちょっと、こだわって美味しいコーヒーを出す店だと、こんな特徴を持っているんじゃないかと思います。
さて、この日本の喫茶店の特徴を踏まえた上で、アメリカのコーヒーの「波」を見ていきましょう。
第1の波、第2の波 そして第3の波(サードウェーブ)
それぞれの「波」の特徴について、簡単に書いていきます。
ファーストウェーブ(第1の波)
19世紀から20世紀にかけて、アメリカが大量生産、大量消費の世の中を作り上げた時、コーヒーもこれに乗っかり、大量にアメリカ国内で流通するようになりました。
これによって、安価にコーヒー豆を購入できるので、飲食店はもちろん、各家庭でも広くコーヒーが親しまれるようになっていきました。
これが、第1の波です。
この時のアメリカのコーヒーの特徴は、ヨーロッパの濃くて苦いコーヒーと違って、浅煎りの酸味の強い、ライトテイストのコーヒーです。
日本でも、アメリカンコーヒーと呼んでライトテイストのコーヒーが流行りました。
しかし、日本の場合は、アメリカの浅煎りのコーヒーとは違い、ただ濃度が薄いコーヒーを、そう呼んでいる、まがいものも多く出回っています(笑)
セカンドウェーブ(第2の波)
第2の波は、スタバ、タリーズ、シアトルズベストといった、いわゆるシアトル系コーヒーです。
それまでの、浅煎りのコーヒーから、エスプレッソを意識した深煎りの濃いコーヒーが、シアトルを中心に、アメリカ中に、広まりました。
これは、もうご存知、日本でも大人気ですよね。
さて、この第1、第2の波を、日本の喫茶店と比較するとどうでしょうか?
スタバなどは、豆の焙煎にはこだわりがあるんでしょうが、豆の種類は日替わりで、お客さんが、味の好みで豆の種類を選ぶことはできません。
(販売している豆は、ある程度選ぶ事はできますが、その場で飲む場合には種類が無い)
また、ドリップやサイフォンで、一杯一杯いれるということもしていません。
つまり、日本の喫茶店とは、かなり雰囲気の違う店だということです。
そして、いよいよ、ブルーボトルを代表とする、サードウェーブ(第3の波)ですが、その特徴とは一体何でしょうか?
サードウェーブ(第3の波)
サードウェーブの特徴に、以下のものがあります。
- 豆の産地や農場にこだわる
- ドリップで一杯一杯丁寧にいれる
- 焙煎など豆ににこだわる
さて、ここで何か気づきませんか?
そうです、最初にご紹介した、昔ながらの喫茶店の特徴と似ていますよね。
実は、ブルーボトルコーヒーを立ち上げた創業者のジェームス・フリーマンは、もともと、日本の喫茶店でコーヒーを飲んで、その味に驚き、感動して、その味を再現させるべく立ち上げたのが、ブルーボトルなんです。
特に、渋谷にある喫茶店「茶亭 羽當」(さてい はとう)に影響を受けたと、フリーマン自身が語っているのは有名ですよね、
つまり、アメリカで、サードウェーブと呼ばれる新たなコーヒーブームは、実は、日本の喫茶店文化のブームなんです。
ついに世界が気づき始めた
私個人的には、世界がようやく日本の喫茶店のレベルに気づき始めたと思っています(笑)
エスプレッソはともかくとしても、ドリップやサイフォンでコーヒーを飲むのであれば、恐らく世界で最も優れたコーヒーを出す店は、世界のカフェではなく、日本の喫茶店だと思います。
ただ残念なのは、世界が気づき始めた日本のコーヒー文化・技術の高さを、我々日本人の方が、気づいていないということなんですよね・・・(悲)
スタバやブルーボトルもいいですけど、是非、たまには喫茶店で、世界レベルの味を楽しんでください(笑)
コーヒーに関する その他の情報
コーヒー(珈琲)に関する、その他の情報が、色々あります。
おヒマな時にでも、是非ご覧ください。
コーヒー(珈琲)に関するミニ知識・効能や誤解など(目次)
まとめ
サードウェーブコーヒーとは・・・
アメリカのコーヒー業界で、ブルーボトルを初めとする日本の喫茶店のスタイルを取り入れたコーヒーショップのブーム
特徴
- 豆の産地や農場にこだわる
- ドリップで一杯一杯丁寧にいれる
- 焙煎など豆ににこだわる
ファーストウェーブ(第1の波)
- アメリカで19世紀から20世紀の大量消費時代に大量にコーヒーが流通するようになった。浅煎りでライトテイストのコーヒーが人気に
セカンドウェーブ(第2の波)
- スタバやタリーズなどの、シアトル系コーヒー、エスプレッソを意識した濃いコーヒーにミルクや砂糖を入れたラテが大人気に
あとがき
このサードウェーブに乗っかって、スペシャルティコーヒーも、すっかりその知名度は上がり、日本スペシャルティーコーヒー協会を中心に、どんどん時代の潮流に乗っていって欲しいです。
ブルーボトルも、日本に恩返しをしたいということで、他国に先駆けて日本に出店をしたとか・・・
でも、日本の喫茶店は、次々と名店が閉店を続けていきます(泣)
1981年にピークで約155,000店あったものが、2012年には、半分以下の約70,000店以下です(出典:全日本コーヒー協会より)
恩返しと言われても、ブルーボトルの進出で、日本の喫茶店はますます厳しい状況に。
是非、世界が気づき始めた、日本の喫茶店の美味しいコーヒーを飲んで欲しいですね。
コーヒーは、紅茶と同じく様々なフレーバーやテイストを楽しめるようになってきています。
ただの苦味や酸味だけではない、本当に美味しい世界の頂点にあるコーヒー文化、大事にしていきましょう。
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