刀剣鑑賞がブームですね!
博物館や美術館でも、刀剣コーナーに人気が集まっています、また、刀剣に関する特別展もよく開催され人気となっています。
刀剣というと、一見どれも同じに見えてしまうかもしれませんが、実は違いが色々あって、見どころも満載なんです。
展示も、刀の刃の部分だけでなく、 拵 えと呼ばれる、 鞘 や、 柄 にも、観るべきポイントがたくさんあります。
そんな、日本刀には、色々と部位があって、それぞれ各部に名称がついています。
刀の各部位ごとに、実は見所満載な鑑賞物なんですが・・・
今回は、そんな、刀の各部位の名称から、鑑賞ポイントまでを、初心者向けに簡単にまとめて、お届けします。
刀身の名称
まず、最初に日本刀の、刀身の各部位の名称について、ご覧ください。
番号 | 名称 | 読み |
1 | 刀身 | とうしん |
2 | 物打 | ものうち |
3 | 鋩子 | ぼうし |
4 | 茎尻 | なかごじり |
5 | 茎 | なかご |
6 | 目釘穴 | めくぎあな |
7 | はばき | はばき |
8 | 刃文 | はもん |
9 | 切刃 | きりば |
10 | 棟 | むね |
11 | 平地 | ひらじ |
12 | 鎬 | しのぎ |
13 | 切先 | きっさき |
鑑賞のポイント
それぞれの部位に鑑賞ポイントはあります。
しかし、イチオシといえば、やはり刃文(はもん)が最大の見所になります。
刃文には、様々な種類がありますが、主要なものは、大体以下の組み合わせになります。
刃文をつくる線の現れ方
- 匂本位(においほんい)
刃文の境目がうっすらときれいな状態 - 沸本位(にえほんい)
刃文の境目が粒子状にはっきりと見える状態
刃文の形
- 直刃(すぐは)
- 湾れ(のたれ)
- 互の目(ぐのめ)
直刃 |
細直刃(匂本位) |
細直刃(沸本位) | |
中直刃(匂本位) | |
中直刃(沸本位) | |
広直刃(匂本位) | |
広直刃(沸本位) | |
湾れ |
小湾れ(匂本位) |
小湾れ(沸本位) | |
大湾れ(匂本位) | |
大湾れ(沸本位) | |
互の目 |
小互の目(匂本位) |
小互の目(沸本位) | |
大互の目(匂本位) | |
大互の目(沸本位) | |
肩落ち互の目(匂本位) | |
刃文(はもん)は、刀の切れ味などの実用性には影響がありません。
刀工が、意図して特定の刃文を入れています。
それは、画家が絵を描くのと同じで、刀工が表現として刃文を作りこんでいます。
つまり、刃文こそが、まさに、刀の顔ともいうべき鑑賞ポイントです。
上記の分類では、大小や、細中広など、分類するために単純化していますが、実際には、大とも小ともいえないものなど、多々あります。
また、匂い本位も沸本位も、どちらとも言えない微妙な刃文も多く存在しています。
つまり、この表にある分類は、あくまで分類上の基本としての刃文であって、実際の鑑賞では、その作り手の個性がとにかく光ります。
展示会場では、刃文を見せるようにライトの当て方など工夫がされていますので、是非、刀ごとにまるで違う刀の刃文を楽しんで下さい。
柄(つか)鞘(さや)の名称
次に、日本刀の、柄(つか)と鞘(さや)の各部位の名称について、ご覧ください。
番号 | 名称 | 読み |
1 | 柄 | つか |
2 | 鞘 | さや |
3 | 頭 | かしら |
4 | 目貫 | めぬき |
5 | 目釘 | めくぎ |
6 | 縁 | ふち |
7 | 鐔 | つば |
8 | 鯉口 | こいくち |
9 | 笄 | こうがい |
10 | 小柄 | こづか |
11 | 栗形 | くりがた |
12 | 下緒 | さげお |
13 | こじり | こじり |
鑑賞のポイント
刀剣の展示というと、刀の刀身や、柄、鞘といったものだけの様に感じますが、鐔(つば)や、笄(こうがい)、小柄(こづか)、目貫(めぬき)といったものが、別で展示されているケースが多くあります。
これは、鐔や笄などに、細かい細工がしてあり、それだけで美術鑑賞の作品といえるものだからです。
鐔(つば)
刀の鐔(つば)は、本当に色々あって楽しいです。
当時の武士のお洒落度満載のアイテムといっていいと思います。
武士の刀というと、なんだかギラギラしているイメージがあるかもしれません・・・
でも、この鐔(つば)に関して言うと、ただひたすら粋やお洒落を追求したものが多いです。
特に、江戸時代の刀は、その傾向にあります。
鐔(つば)をちらつかせては、ドヤ顔をしている刀の持ち主の表情が感じられます(笑)
-
- 左側は、川の前の虎が描かれています
- 真ん中は、蟹(かに)の模様です
- 右側は、枝菊に短冊の模様です(大小のセット)
穴が3つあるのは、刀身以外に、笄(こうがい)と小柄(こづか)を通すためです
目貫・笄・小柄・縁銘
目貫や笄などの、金具をまとめて展示している方法もよくとられます。
刀のままケース内に飾られると、遠すぎて細かい細工が一切見えませんが、別で展示されると、よりよくその細工の美しさ、精密さが確認できます。
刀剣鑑賞で、刀身そのものよりも、こういった拵(こしら)えと呼ばれる、装飾品にだけ興味のある方もいるくらいです。
右の写真は、左半分を拡大したものです。細工の細かさが分かります。
刀剣に関する記事
刀剣に関する記事に以下のものもあります、是非、ご覧になって下さい。
まとめ
刀の展示方法
- 刀身と柄や 鞘 といった 拵 えを別で展示
- 拵えは、更に、金具などだけ別で展示されている場合がある
鑑賞のポイント
- 刀身の顔はなんといっても刃文拵えは、特に 鐔 や 目貫 、笄 など
あとがき
やはり、武士の魂と呼ばれる刀です。
刀身自身の美しさは、もちろんですが、それ以外の部分のこだわりもすごいですね。
人間って、普段、身近に持ち歩くものや、使うものに関しては、すごいこだわりを持つ習性があるんでしょうね。
刀を見ていると、本当に当時の武士が、こういった現代人が、バッグや靴、更には車などに、ものすごくこだわるのと同じことなんだな~と強く感じます。
そして、歴史の教科書や、時代劇の世界の遠くに感じていた人々を、急に身近に感じることが出来ます。
刀の作り手や、使い手の想いを感じながら、刀剣鑑賞を楽しんで下さい。
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