今、日本刀がアツいですね!
ちょっと前までは、静かなブームでしたが、今や様々な美術館で、日本刀に関する展示会が行われていて、完全な刀剣ブーム、日本刀ブームが起きています。
以前は、日本刀というと、限られた人のための美術品というイメージで博物館でも、刀剣のコーナーはガラガラでした(笑)
ところが、最近は若い人、特に女性に人気が高いのには驚きです。
そんな刀剣女子、刀剣ガールが増えて、日本の伝統美、日本刀の美しさが見直されるのは、いいことですよね。
日本刀というと、なんだかシンプル過ぎて、どれも一見変わらないように見えますが、実は、それぞれに顔があり、奥の深い美術品です。
「刀は武士の魂」という言葉を聞いたことがあると思います。
それだけに、刀にかける当時の武士たちの思い入れは、すごいものがあります。
さて、そんな日本刀ですが・・・
太刀(たち)と呼ばれるものと刀(かたな)と呼ばれる2種類があるのをご存知ですか?
字が違うだけで、どちらも同じじゃないの・・・??
実は、太刀と刀は、美術館や博物館で、展示の方法からして違うんです。
日本刀鑑賞の基本のキともいえる、この違いをしっかりと押さえておきましょう。
今回は、そんな太刀と刀の違いについて、せまりたいと思います。
「太刀と刀」展示の違い
せっかく美術館や、博物館に日本刀鑑賞に来たのに、自分が「太刀(たち)」を見ているのか、「刀(かたな)」を見ているのかがわからなければ、がっくりですよね?(笑)
ちゃんと、太刀と刀の違いを見極めた上で、きちんと鑑賞したいところです・・・が
その違いって難しい・・・!?
いえいえ、心配いりません。
実は、美術館や博物館では、太刀と刀で展示の方法が違うので、誰が見ても分かるようになっているんです。
例えば、次の2つの日本刀・・・
何が違うか分かりますか?
刃の上下が逆に展示されていますよね。
右の日本刀は、刃が下なのに対して、左側のそれは、刃が逆で上になっています。
右側の刃が下になっている方が、太刀です。
左側の刃が上になっている方が、刀です。
では、なぜ、太刀と刀では、展示する時の刀の上下の向きが逆なのか?
そこには、太刀と刀の使い方の差が、はっきりと現れています。
それでは、太刀と刀の違いについて、具体的に見て行きましょう。
太刀と刀の違い
太刀と刀の違いですが、刀と呼んでいる方は、正確には「打刀(うちがたな)」と呼ばれるものです。
この太刀と打刀ですが、歴史上、太刀が平安時代に登場します。
太刀(たち)
太刀は、基本的には、馬上戦で使うために作られているので、腰から吊るしていました。
この状態のことを佩(は)くと言います。
馬上戦で使うことを考慮して作られていますので、まず、馬を操るのに邪魔にならず、しかも、馬に揺られながらでも太刀を抜いた時に、危なくないように、刃が下に向けられています。
有名な聖徳太子の肖像画に、その太刀を佩(は)く姿が描かれています。
太刀は、長さによって次の様に分類がされています。
- 大太刀:刀の長さが3尺以上
- 小太刀:2尺未満
- 太刀:大太刀と小太刀の間(2尺以上3尺未満)
※ 1尺= 0.30303m (≒ 30.3 cm)
文献によっては、大太刀を、更に野太刀と大太刀の2種類に分類しているものもあります。
打刀(うちがたな)
これに対し打刀は、室町時代以降に登場します。
基本的には、徒戦(かちいくさ)という馬上ではなく、歩行で戦う為に作られた刀です。
いつでも簡単に抜けるようにするため、腰の帯に差していました。
このことを帯刀する、刀を帯(お)びると言います。
あるいは、刀を差すといいます。
この絵でも、武士が3人描かれていますが、刃を上にして帯に差しています。
特に、真ん中の上下(かみしも)姿の武士を見てもらうとよくわかりますが、歩きながらでも、すぐに刀が抜ける状態です。
そして、敵が現れた場合に、すぐさま切りつけられるように刃が上になっているんですね。
時代劇や、居合(いあい)なども、よくあるおなじみのシーンですね。
展覧会で、太刀と打刀の刃の向きが上下、逆なのは、刀を身につけている状態そのままで展示をしているということなんですね。
太刀と刀(打刀)の違い動画
太刀と打刀の違いについて、紹介されている動画がありましたので、ご紹介します。
実際に太刀と、打刀の抜刀や納刀の違いまでを、実践しながら教えくれています。
日本刀は、博物館、美術館で、美術品として鑑賞する以外にも、こうやって実際に使ってみて、その所作も含めた美しさを楽しめるのも、楽しみの一つです。
刀剣に関する記事
刀剣に関する記事に以下のものもあります、是非、ご覧になって下さい。
まとめ
太刀 と刀(打刀)の違い
太刀 | 打刀 |
平安時代に誕生 | 室町時代に誕生 |
刃が下で展示 | 刃が上で展示 |
腰に吊るす 佩(は)く | 帯に差す 帯びる |
主に馬上にて使用する | 主に歩行時に使用する |
あとがき
太刀にしろ、刀にしろ、単なる武器ではなく、そこに魂や精神性を求めてきたことが、現代では美術品として楽しめるまでの美しさを備えることになったのだと思います。
特に、江戸時代では、戦(いくさ)が無くなったことから、戦うための武器というよりは、武士が自分のID代わりともいえる刀を、より粋な装飾で飾ってみたり、また波紋にも特徴をもたせたりと、美やお洒落を楽しむアイテムになっていったことが、名刀や名品と呼ばれる刀が生まれる元にもなったんでしょうね。
刀剣の博物館などに行くと、必ず自分の気に入った作品があります。
その作者や、なぜ自分が好きになったのか?
波紋に惹かれたとか、地金の部分が美しい、または、こしらえの部分が気に入った、あるいは、名前に惹かれたなど、その特徴を押さえて、そこから、同じ作者の刀、同じ特徴のある方ななどに展開させていくと、どんどん身近なものに感じることができます。
色々な知識があったほうが、美術館賞は楽しめるのも事実ですが、刀はこちらに訴えてくる力が強い美術品だと思うので、パッと見て「いい!」って思う感性を大事にして鑑賞するのが一番です。
是非、お気に入りの一振り、見つけてください。
コメント
表の中の帯にさすと腰に吊るすが逆では?
ご指摘ありがとうございます!
訂正させて頂きました。