「いただきます」 の 意味とは? 英語にないこの言葉

 日本人であれば、ごはんを食べる時に「いただきます」といってごはんを食べますよね。

何の不思議も、不自然さもそこには感じません。

でも、「 いただきます 」って、一体誰に向かって言ってるんでしょうね?

  • 食事を作ってくれた、お母さん 奥さんに?
  • 食材をつくってくれた、農家漁師さんに?
  • 食材そのものに?

128378子供の頃、「いただきます」を言わないで食事を始めると、すごく怒られたという記憶があります。

感謝を怠ったから叱られたんでしょうが、一体誰への感謝なんでしょう・・・?(笑)

179461今回は、そんな 「 いただきます」 という言葉に、スポットを当ててみたいと思います。 

 

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英語にはない言葉

先日、イギリス人のお客さんを家に迎え、夕飯を一緒にする機会がありました。
その方を、仮に、「SHさん」としておきます。

SHさんは敬虔(けいけん)なクリスチャンで、とても優しく、礼儀正しい方です。

食事の席について、皆がそろったところで、SHさん、人目もはばからず目をつむり両手を組んで、神に祈りを捧げはじめました。

いきなりのことに、家族一同、ポカ~ンと口を開けて、ただ眺めているだけでした。

そういう光景は、映画でしかみかけたことが無かったので、どうしていいのか分からなかったんです(笑)

英語で、ブツブツと祈りの言葉を捧げて、最後に「アーメン」という言葉を言うと、皆の顔を見てニッコリ。

さて、いよいよとばかり、家族が皆で声をあげて「いただきま~す」と言うと。

今度は、SHさんが目を真ん丸くしています(笑)

家族全員が、一斉に唱和した事に、何の意味があるのか興味津々だったようです。

外人男性?
家族全員でブッダに祈りを捧げているのか?

男性ノーマル
いやそうじゃなくて、食べ物をいただくことへの感謝をしているんです 

外人男性?
ブッダでないのなら、いったい誰に?

男性?
え!? 誰って・・・うーん、誰なんだろう?

外人男性!
・・・・・

おそらく、SHさん、「謎の民族 ジャパニーズ」の認識、更に強めてしまったことでしょう・・・・(笑)

確かに、英語に「いただきます」を意味する言葉って無いんですよね
 ちなみに、ご馳走(ごちそう)さまもありません。

 

「いただきます」の語源179458

普段何気なく使っている、「 いただきます 」この言葉が一体、どういう意味なのか調べてみました。

大学の図書館の蔵書を確認すると・・・ やっぱり、ありました
決まり文句語源辞典 」  何でも辞典になってるんですよね

頂くは、もとは物を頭に載せること。
食べものを頂くとは、神や貴人の前で、改まった儀式の日に、神と人とが同じ物を食べるとき、 食べ物を頭と額に押しいただいたことから。

こういう意味があったんですね。

昭和になるまでは、「いただきます」はなかった?

さて、「 いただきます 」は、奈良時代や平安時代の儀礼の名残りとして残っている慣習で
特に直接的に誰かに感謝をするという意味は無いということで、調査終了・・・・かと思ったのですが

その後も調べてみたところ
明治 や 大正において、食事の前に何かを言う慣習は無く、それは  昭和 になってから  という情報が・・・

奈良・平安から、一気に昭和ですよ!(笑)

歴史学者で、国立民族学博物館名誉教授でもある「熊倉 功夫」先生が、1980年代に  明治・大正生まれの方の調査をして、分かったことです。
この調査結果をまとめた資料は、ネット上で見ることが可能です( 「あとがき」を参照)

この調査をまとめた資料によると、太平洋戦時中の学校においては、「いただきます」ではなくて、次の言葉が使われていました。

兵隊さんありがとう、お百姓さんありがとう

 「  箸(はし)取らば、天地御代の御恵み  」

これらの言葉を、食事の前に全員で唱和をし、祖先や親の恩に感謝してから食事を摂ったと記録にはあります。

この、「箸(はし)取らば、天地御代の御恵み」 というのは、江戸時代の「孝行導草」という教訓を教える
書物からとっています。

この文には続きがあります。
箸(はし)取らば  天地御代の御恵み   (主)君や親の御恩味わえ
 
「 食事の時、お箸(はし)を持ったら、主君 そして親の恩を感じて感謝して頂きなさい 」   という 意味です。

江戸時代では、主君は将軍や藩主となりますが、当時の日本では、主君は「天皇」となります。
文部省の指導により、天皇と両親に感謝の言葉を唱和してから食事をする事が義務付けられていたんですね。

戦後の日本では?

さて、戦後になって「いただきます」は、どこで誕生したのか?
実は、先の調査資料にも、それは書かれていません。

学校教育の中で、戦後はより「 道徳的 」なものにシフトしていくのが自然な流れだと思います。
そして、昔から「 礼儀 」を重んじる国民性ですから、食事の際に全員で唱和する事が、学校教育の一環として残ったのだと思います。

挨拶なども、似たような事を感じます。

今はどうなのか分かりませんが、小学校の頃、授業の前に、まず先生への挨拶からでした。
当直の「起立、礼、着席 」という掛け声に従って、全員が挨拶していたのを思い出します。

今思えば、全員、同じ制服を着るのと同様、どこか戦前の日本の名残が、そこにはあるような気がします。

ルーツは仏教?

そして、「箸とらば・・・」という江戸の教訓を教える書物からとった言葉
感謝を捧げる時に、すでに箸をとっていますよね?

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箸を手にとり、合唱して感謝するのは、仏教スタイルではないのでは?
と思います。

 キリスト教って、お祈りの時、スプーンやフォークを手にとって祈りませんよね?(笑)
  
また、「いただきます」という言葉も、 食べ物に対して「命を頂く」というという、浄土真宗の思想  が入っているように思われます。

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【まとめ】 ‐ 「いただきます」の意味

結局は、現在使っている「  いただきます 」の意味が、これだ!というところまでは行き着きませんでした。

しかし、恐らく、日本の仏教の教えが 「道徳 」として日本の学校教育に浸透し、それが家庭にも広がった
と考えられるかと思います。

ということで、多少強引ですが(笑)「  いただきます 」 の意味は、次の2つと思われます。

  • 食べ物に対して、命をいただくという感謝 の意味 
    仏教でいう 頂戴受持(ちょうだいじゅじ)
  • 料理として、ここに来るまでに関わった全ての人への感謝の意味 
     仏教でいう 本願他力(ほんがんたりき)

あとがき

辞典を調べたらそれで解決!と簡単に考えていたのが、随分と深みにはまり、最終的には、自論で片付けることとなってしまいました(笑)
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でも、ちょっとしたことで色んな世界が見えてきて広がっていくのは楽しいですね。

それにしても、戦時下の学校教育が「いただきます」のルーツというのは、少し悲しいような気もしますが、

「いただきます」という言葉が日本にしかないというのは、本当に素晴らしいことだと思いますね。
これだけ様々な国があって、日本にしかない日常使う言葉というのは、すごいですよ。 確かに、英語やドイツ語、フランス語にも、「ご馳走さま」も「 お疲れ様 」もありません。
(このあたりも、また色々調べて投稿してみようと思います)

更には、「もったいない」は英語でもそのまま「 Mottainai 」という言葉で、世界に進出しています。
日本の文化、もう一度、じっくり見直したいですね。

最後に、文中でご紹介した「熊倉功夫」先生の、調査結果の「いただきます」については、以下より見ることができます
 ⇒ みんぱくリポジトリ(国立民族学博物館学術情報リポジトリ)
    ホーム より     
  → 「国立民族学博物館研究報告別冊」
       → 「16号 現代日本における家庭と食卓 ―銘々膳からチャブ台へ―」
  →「 食卓生活史の調査と分析 : 食卓生活史の質的分析(その2) ―食べものと食べかた」 P13-14 に記載があります

  

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