仏像鑑賞が静かなブームだというのをご存知ですか?
休日になると、仏像を見るためにお寺や、博物館に行く、若い人達が増えているようです。
日本の伝統文化が見直されているのと同時に、癒しが求められているのかもしれませんね・・・
恋人同士や、夫婦でデートを兼ねている人達の姿も多く見かけられます。
奥さんや恋人に、質問攻めにあって困り果てている男子も少なくありません(笑)
そんな中で、よく聞く質問の一つが
「如来 と 菩薩 って、何が違うの?」
どちらも、仏像のことだけど、はっきりとした違いと言われても、答えられなかったりしますよね。
今回は、そんな如来と菩薩の違いについて、簡単に分かりやすくお伝えします。
如来と菩薩の違い
如来と菩薩の違いといっても、そこには、次の二つの意味があると思います。
- 身分の違い
- 外観の違い
違いを理解するうえで、この二つをしっかりと押さえておきましょう。
それでは、まず、身分の違いからです。
如来と菩薩の身分の違い
身分の違いは、簡単です。
如来は、悟りを開いた人(仏陀ブッダ)です。
菩薩は、悟りを開くにいたっていない修行中の身です。
つまり、鎌倉の大仏(阿弥陀如来像)は、悟りをひらいた如来で、浅草の観音様(観世音菩薩)は、まだ悟る前の修行中の身です。
「え!?じゃあ、観音様にお参りって、修行者を拝んでいたってこと?」
まさかの事実ですよね・・・
私もそう思いました(笑)
でも、実は、人間の修行僧と同じでは、ありません。 観音様など、名前の有名な菩薩は、実は来世では如来になることが、既に決まっています。
そして、如来と同じく、人間の救済をを行っています。
次に、仏像の見た目の違いが何かを見てみましょう。
如来と菩薩の外観の違い
如来
如来のモデルは、釈迦が、悟りを開いた姿と言われています。
如来は、見た目で簡単に分かります。
次のものが、如来にしかない特徴だからです。
- 螺髪(らほつ) : 髪の毛が細かくカールされる
大仏のパンチパーマ、あれがまさに如来の象徴だったんですね!
悟りを開くと、髪の毛がパンチパーマになるんですね(笑)
これ以外の特徴には以下のものがあります。
- 肉髻(にっけい) : 頭の肉が盛り上がっている
- 白毫(びゃくごう): 長い白い毛の丸いまとまり(右巻き)
白毫(びゃくごう)は、菩薩にも見受けられる特徴です。
肉髻(にっけい)も、菩薩にも見受けられるようですが、はっきりとした肉髻(にっけい)の場合には如来です、悟りを開くと頭が盛り上がると言われています。
如来は服装もシンプルで、装飾も一切しません。
着ているのは、法衣といって、インドの僧侶が身につけている服装です。
手に何かを持ったり、馬や像などに乗ったり、何かを踏みつけていたりということもありません。
例外として、薬師如来が、薬壺(やっこ)を持ったり、大日如来が宝冠をつけています。
続いて、菩薩を見てみましょう。
菩薩
菩薩は、修行中の釈迦の姿がモデルと言われています。
自らも悟りのため、修行をしながら、人々の救済にも力を入れ、如来の補佐もします。例えは、悪いですが、会社で言えば最も働いている、中間管理職といった存在です。
有名な菩薩は来世では、如来が約束されているので、既に、重役昇進が内定済みの部長といったところでしょうか(すみません思いっきり俗な例えで・・・^^;)
菩薩の特徴としては、もともと釈迦は、貴族の王子として裕福な家柄で育っているので、アクセサリーなどを色々つけています。
- 宝冠、ネックレス、ブレスレッドなどの装身具
はっきり言って、派手です(笑)
これらは、如来には絶対に無い特徴です。
例外は、地蔵菩薩で、あまり飾り立てていません。
手が何本もあったり、顔がいくつもあるものは、明王や天に属する仏像の中にもあります。
見分け方としては、明王は、憤怒の表情をしています、また、四天王など天に属する者には、怒りの表情を持つものが多いです。
これに対して、菩薩で怒りの表情を持つものはありません。
さて、ここまでで、如来と菩薩の違いについては、分かったと思います。
ただ、仏像には、如来や菩薩以外にも、不動明王や、毘沙門天などがいますよね?
それらも含めて、仏像の大きな分類について理解しておいた方が、如来と菩薩の違いも、よりはっきりとすると思います。
そこで、最後に、仏像の分類についても、簡単に説明しておきたいと思います。
仏像の分類
仏像は、基本的には、以下の5種類に分類されます。
- 如来
- 菩薩
- 明王
- 天
- その他
どうですか? 意外とシンプルですよね?(笑)
色んな名前の仏像が、日本のあちらこちらにあるので、分類というとすごく複雑そうな感じがするんですが、実は種類はさほどではないんですよね。
次の図は、この分類を図にしたものです。
では、それぞれの仏像の特徴と、どんな名前の仏像があるのか、見てみましょう。
特徴と種類
以下に、各分類の特徴と、代表的な種類の仏像の名前を載せています。
特徴 | 代表的な種類 | |
如来 | 悟りを開いた仏 人々を苦しみから救う |
釈迦如来、大日如来、阿弥陀如来、薬師如来 |
菩薩 | 修行中(悟りは開いていない) 人々を救う |
観世音菩薩、地蔵菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩、弥勒菩薩 |
明王 | 大日如来の化身の姿、煩悩に怒りを表す | 不動明王、愛染明王、降三世明王、大威徳明王 |
天 | 仏教を守護する。 インドの神(バラモン教)が仏教に取り入れらたもの | 帝釈天、梵天、多聞天など四天王 |
その他 | 上のどれにも属さないもの | 釈迦の十大弟子、達磨、阿修羅など八部衆、大黒天など七福神 |
お地蔵さんは、正式には地蔵菩薩。
観音様の様に、派手ではありませんが、菩薩さまです。
まとめ
如来と菩薩の違い、これでもうバッチリですね!
彼女や奥さんに聞かれた時、サラッと答えてカッコいいところを見せましょう(笑)
最後に、簡単にまとめておきます。
如来
- 悟りを開いた釈迦がモデル
- インドの法衣を身につけただけの姿
- アクセサリーなどは持たない
例外は、薬師如来の薬壺(やっこ)と大日如来の宝冠
菩薩
- 修行中の釈迦がモデル
- 美しい着物に、宝冠や首飾りなどのアクセサリーを見につけている
- 化仏(けぶつ)があったり、手が多いものなどがある
仏像の5分類
- 如来
悟りを開いた者(仏陀ブッダ)・人々を救う
釈迦如来、大日如来、阿弥陀如来、薬師如来など - 菩薩
悟りを開くために修行中・人々を救う
観世音菩薩、地蔵菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩など - 明王
怒りで仏の道を 諭 す大日如来の化身
不動明王、愛染明王、降三世明王など - 天
仏法を守護する者
広目天などの四天王、帝釈天、梵天など - その他
羅漢、達磨、七福神、阿修羅など
あとがき
仏像は、まずその姿や形を鑑賞して楽しむというのがあります。
定朝(じょうちょう)といった平安時代の作風、そして、密教の明王などの、憤怒の表情をした仏像、鎌倉になって、運慶・快慶のいわゆる慶派が出て、がらりと印象の違う仏像が現れます。
その技巧や作風の違い、仏像が持つ独特のオーラで、まず感動します。
そして、その仏像の意味や役割を知ると、その面白さが何倍にもふくれあがります。
さらに、その仏像が、何故作られ、 祀 られたのかという歴史的な背景が見えると、色んな物事と結びついて、世界が一気に広がっていきます。
仏教は、ちょっと前までは、政治の中心といってもよい場所にいたので、歴史的な事件、そして文化などと深くつながっています。
仏像鑑賞から、どんどん世界を広げてみて下さい。
コメント
[…] 詳しくは本を読んで欲しいのですが、 ネットで調べると書いてあった。 […]
コメントありがとうございます。
鎌倉の仏像についての講義を受けたので参考にするためサイトを訪問しました。
鎌倉の仏像の完成年月等々不明が多く面白いです
鎌倉の大仏や長谷観音の完成年月が不明らしいです
大仏は如来か釈迦かも不明
blog
鎌倉案内版
コメントありがとうございます。
そうなんですね、鎌倉の大仏にはまだまだ謎が多いんですね。
わかりやすくていろいろ勉強になりました。ありがとうございます。
さて、かつてお坊さんに聞いた話ですが、
装身具を身につけているのは、在家(ざいけ=出家せずに修行に励む)の菩薩、お地蔵さまのようにお坊さんの容姿をしているのは出家者の菩薩だそうで、どちらもそれぞれの立場を生かして人々を救っておられるのだそうです。
それから鎌倉の大仏さまは阿弥陀如来さまらしいです。親指と人差し指でOKをつくっている手のかたちが阿弥陀さまの特長なんだそうです。
また、他の記事を読んで包丁が我ながら上手に研げました。10円玉2枚の角度を保つのが難しかったですが、やってみるとおもしろいですね。
ポモドーロさん
コメントありがとうございます。
返信が遅くなり申し訳ありません(汗)
在家の菩薩、出家の菩薩とは、初めて聞きました!貴重な情報ありがとうございます。
仏教の世界、奥が深い…(笑)
菩薩のうち一つだけ憤怒相の馬頭観音菩薩があります。
観音菩薩は名前も多く、覚えずらいですね。
コメントありがとうございます。
何でもかんでも取り入れてしまうところが仏教にはあって、本当に複雑ですよね。
基本はあっても例外が多々あり…それも仏像鑑賞の楽しみの一つですよね!
私の知識内の事ですが 菩薩とは 如来になる為に修行をしている仏で
如来の性別は 必ず 男性であり その如来を目出す菩薩も 男性であると記憶します
如来は 悟りを開いているので
色々な苦を感じないので 装飾も無く 衣服も
薄く 光背が出ています
逆に 菩薩は 装飾も 衣服も 自然と多くなります
菩薩の特徴は 目的別に 未だ未だ有りますが
今回は この程度で終わります
般若心経を読むと、仏陀(釈迦)は自分の煩悩や苦しみからの解脱のために修行をし、人間を構成している五蘊は空であることに気付き、悟りを開いたのだと言っています。
菩薩は現世にあって、人を救うために永遠に修行し続けることで、悟りを開こうとする仏です。
どちらが上とか下とか言うことは、あまり意味が無いのではないでしょうか。
とっぴんさん
コメントありがとうございます。
般若心経の空も、また奥の深い概念ですよね。
たしかに、釈迦と菩薩の上下関係は、人間社会の上下関係とは全く別次元の話ですよね。
大変、分かりやすく、楽しく読ませていただきました。
私が管理人をしている旅ブログに、こちらの記事を紹介(リンク)させていただいておりますが、よろしいでしょうか?色んなサイトをチェックしたんですが、こちらのサイトが一番、読みやすかったので・・・。
アジアを旅行する前には仏教や仏像の勉強をしておいた方が良いよ~、という記事です。
もし、都合が悪ければ、対応させていただきますので、ご連絡ください。よろしくお願いいたします。
人見知り系バックパッカーの旅ブログ『アジアしあわせ特急』
【超入門編】仏教や仏像について勉強しよう:アジア旅行者は必見!
http://shiawase2017.com/archives/3811775.html
ありがとうございます。
バックパッカーの旅ブログ、楽しそうなサイトですね。
私も、沢木耕太郎の深夜特急を見て憧れました。
素敵なサイトで、ご紹介頂きまして光栄です。
初めまして、大変勉強になりました。今までで一番わかりやすかったですm(__)mありがとうございました。私はお地蔵様ファンです(^-^)
ちばさん コメントありがとうございます。
白毫寺に閻魔様の横に、とても立派な地蔵菩薩様がいるんですけど、街中にたたずむほっこりとしたお地蔵さんもいいですよね。