セイレーン!スタバのロゴって実はギリシャの怪物!?

ギリシャ神話・哲学

セイレーン って知っていますか?
普段、あまり聞く言葉でも、名前でもないかもしれません。

では、サイレンは?

これは、ほとんどの方がご存知ですよね。

パトカーや救急車が鳴らしている音を作っている装置ですよね。
実は、このサイレン、語源は「セイレーン」なんです。

恐らく、一番身近にいるセイレーンは、スタバです(笑)
スタバのロゴの女性、あれがセイレーンです。

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今回は、そんなセイレーンについてです。
なお、これはシリーズでお届けしているギリシャ神話の第8回目となります。


サイレンの語源

044290というと、パトカー、救急車などは急いで現場に急行するために、警報として鳴らしていますよね。

サイレンは、何か事故や事件、病人、ケガ人を連想させるので、あまりその音に良い印象があるものではありません。

でも、語源のセイレーンは、ギリシャ神話に登場する、歌う怪物なのですが、これが魅力的な歌を歌うんです。オペラ

思わず、その歌に引き寄せられてしまうようです。


ギリシャ神話のセイレーンとは?

紀元前330年頃のセイレーン像(アテネ国立考古博物館)

紀元前330年頃のセイレーン像(アテネ国立考古博物館)


ギリシャ神話に登場するセイレーンですが、姿は半人半鳥といって、鳥の姿で、首から上だけが美しい女性の姿という怪物です。

とにかく歌が、強烈に魅惑的で美しい歌声なんです。

セイレーンの棲家(すみか)は、アンテモエッサという島です。
ここで、いつも海に向かって歌っています。

島の前を通りかかる船は、その歌声に引き込まれて、ついつい島に行ってしまうんだそうです。


何のために歌う?

でも、セイレーンって何のために歌っているのかが、よく分かりません。

その歌に魅了された船乗りは、急に進路を島に変え難破するか、島に上陸して死ぬまで歌を聴き続けることになります。

でも、一体、何のためにそんな事をするのかの理由がわかりません。
怪物にありがちな、おびき寄せて食べてやろう・・・というわけでもないんです。

 かなり、はた迷惑な怪物です(笑)

そんな、セイレーンは、ギリシャ神話では2回登場します。
順にそれを見ていきましょう。


ギリシャ神話1 : アルゴー号の航海

ギリシャ神話の中の、アルゴー号の航海にセイレーンは登場します。

アルゴー号の航海の話しの主人公は、イアソンで、仲間たちと、コウルキスの黄金の羊の毛皮を取りに行くための冒険が描かれています。

12の功業中のヘラクレスも途中まで参加しています。

アンテモエッサ島の前を通りかかった、アルゴー号は、セイレーンの歌声に惑わされて、漕ぎ手が勝手に進路を島に向かわせてしまいます。

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しかし、オルフェウスが竪琴を鳴らして、セイレーンの歌声をかき消して難を逃れています。


ギリシャ神話2 : オデュッセウスの航海

トロイア戦争の後に、帰国の途につくオデュッセウスが、神をないがしろにしているという罰で、10年間も海をさまようことになるのですが、その航海中に、アンテモエッサ島の前を立ち寄ります。

事前に、セイレーンの歌声を聞いてはいけないという事を知らされていた、オデュッセウスは、船の漕ぎ手の耳をロウで栓をして、自分は、栓をしませんが、代わりに体をマストに縛り付けさせます。

やがて、セイレーンの歌声が聞こえると、オデュッセウスはその魅力にとり憑かれ、島へ向かうように大声を出しますが、漕ぎ手は耳に栓をしているので、歌は聞こえてきません。

また、セイレーンの歌が聞こえていることが、オデュッセウスの姿を見る事で分かりました。



ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作「オデュッセウスとセイレーンたち」

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作「オデュッセウスとセイレーンたち」


アンテモエッサの島を離れ、セイレーンの歌声が聞こえなくなると、オデュッセウスは正気を取り戻し、その姿を見た、漕ぎ手は耳の栓を外しました。

 こうして、難を逃れます。


スタバのマーク

スタバのマークの女性、あれがセイレーンです。
でも、とても鳥には見えませんよね?

そうなんです、実はセイレーンは、古代ギリシャでは、半人半鳥とされていたのですが、中世以降、人魚と一緒になってしまいます。



ハーバード・ジェイムズ・ドレイパー作「オデュッセウスとセイレーンたち」

ハーバード・ジェイムズ・ドレイパー作「オデュッセウスとセイレーンたち」


 でも、いわゆるマーメイドの様な人魚ではなく、尾が二つあるタイプがあるタイプです。
スタバのマークにある、左右から出ているシマシマのもの、あれはセイレーンの2つの尾の先です。

よく腕と、勘違いされています(笑)

今のロゴは、顔を中心としたロゴでしたが、スタバの設立当初は、全体が映っています。

今でも、シアトルにある「スタバの1号店」では、このオリジナルロゴを使い続けているので、お土産でも人気です。

なぜ、スタバのロゴがセイレンなのか?

ということは、アメリカのスタバのHPのブログにのっています。

 スタバのロゴを決める際に、何かコーヒーの航海の歴史や、シアトルの海港のルーツにまつわる話はないかと、様々な海にまつわる本を読んでいたところ、二つの尾を持つ人魚、セイレーン(16世紀の木版画)が目に飛び込んできて、 航海ともつながりのある、このセイレーンにインスパイアされて、スタバのシンボルとなったようです。

スタバにとっては、もちろん怪物ではなく、ミューズ的な存在ですね。


ギリシャ神話シリーズの目次へ

これ以外にも、まだまだ色んなエピソードなどを紹介しています。
よかったら、ご覧下さい。

ギリシャ神話シリーズの目次はこちらより
ギリシャ神話シリーズの目次


まとめ

Check セイレーン
  • 魅惑の歌声で、船乗りを島へ導くギリシャ神話の怪物
  • 古代ギリシャでは半人半鳥、中世以降、人魚となる
  • サイレンの語源

ギリシャ神話


  • アルゴー号の航海 - オルフェウスの竪琴で難を逃れる
  • オデュッセウスの航海 - 耳に栓をして難を逃れる

スタバのロゴ


  • 航海をテーマにロゴを探していたところ、セイレンを見つける
  • スタバにとっては、ミューズ的な存在

あとがき

084160サイレンは、イヤな音で、魅惑的の逆の様な音となっているのが、少し皮肉ですね。

セイレーンは、3~4体とされていて、それぞれ音域のパートが違うとか・・・
混声合唱団だったんですね、一度、聞いてみたい(笑)

本文中で、ご紹介した絵画は、ドラマ性を持たせるためと、見る人に場面を分かりやすくするために船の近くに実際、セイレーンを登場させていますが、実際は、島から歌声だけが聞こえるだけで、姿は現していません。

それにしても、ついついスタバに用も無く寄ってしまい、コーヒーを買ってしまうのは、まさにセイレーンの魅惑なのでしょうか?(笑)

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